「もう頑張れない」って言ったら、負けですか。
40代の女性の方から、こんなお便りをいただきました。
フルタイムで働きながら、小学生の子ども2人を一人で見ています。夫は単身赴任です。朝から晩まで走り続けて、最近は夜、台所で理由もなく涙が出ます。でも、周りのお母さんたちはみんな頑張っているのに、私だけ「もう頑張れない」って言ったら、負けですか。
これは、本当によく聞くお悩みです。
一人で全部を背負っていませんか
本当に辛いですよね。一人で全部を背負って、100%でやろうとしていらっしゃる。
台所で、材料を切りながらポロポロと涙が出てくる――そんな経験がある方も、きっと多いのではないでしょうか。もうそれは、本当に頑張りすぎているサインだと思います。
琴の名手ソーナさんに、お釈迦様がかけた言葉
お釈迦様のお弟子さんに、ソーナさんという方がいらっしゃいました。琴の名手だったソーナさんは、どれほど修行に励んでも悟りを開くことができず、いっそ元の生活に戻ろうかと思い悩んでいました。
そんなソーナさんに、お釈迦様はこうたずねられたといいます。
「琴の弦を張りすぎたら、どうなりますか」
「それはもう、切れてしまいます」
「では、緩めたらどうなりますか」
「いい音が出ません」
強すぎず、弱すぎず、ちょうどよく整えるからこそ、いい音が出る。お釈迦様は、こう続けられたそうです。
あなたの心も、これと同じ。張りすぎれば切れてしまうし、緩めすぎればいいことができない。ちょうどいいところでバランスを取りなさい――。
これを中道といいます。ちょうどいいバランスで生きていきなさい、という教えです。
頑張りすぎたら、ブチンと切れてしまう
私たちも、ソーナさんと一緒です。頑張りすぎたら、本当に疲れてしまう。ブチンと切れてしまいます。
でも、そうやって「もう頑張れない」と気づかれた日、涙を流された日、そう言えた日から――もう、支えてもらえる日が始まるんです。
「頑張れない」と言えたのは、心に気づけたということ
ガムシャラに走っている時は、辛いとも、もう無理だとも言えないものです。そんな状況まで、自分を追い込んでしまう。
それでも、こうして「頑張れない」とおっしゃってくださった。それはもう、ご自身の心にちゃんと気づかれたということです。
支えてもらいましょう。周りの方に助けてもらいましょう。「もう頼っていいんだ」――そう思える日が、やっと来たということですから。ぜひ、周りの方に助けてもらってください。
あまりにも辛さが長く続くときは、お医者さんや専門家の方の力を借りることも、大切だと思います。ぜひ、自分だけで頑張らずに、周りの方、そして専門家の方、そういった方の力を借りることを、自分に許してあげてください。
頑張ってください。応援しています。
強すぎず弱すぎず、ちょうどいいバランスで生きるという「中道」については、こちらの記事でもお話ししています。
▷ 『美味しんぼ』の「トンカツをいつでも食える」という名言から学ぶ仏教の「中道」の教え
ひとりで抱えこまないで
「頑張れない」と言えること自体が、もう一歩です。うまくいかない日があっても大丈夫。ひとりで抱えこまず、そっと話してみませんか。登録も利用も無料で、いつでもやめられます。
この記事をお話しした人
竹下暁蓮(たけした ぎょうれん)
ヨガを続けながら仏門へ。病と、大切な人の喪失を経て、あなたの今に寄り添う僧侶。
約550年つづく浄土真宗のお寺・慈徳山 得藏寺が運営する、誰にでもひらかれた、やさしい仏教の入口「仏陀倶楽部」でお話ししています。





















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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