「親を亡くして、自分を無条件で愛してくれる人がいなくなってしまった」
そんな寂しさを抱えている方から、ご相談をいただきました。
無条件で愛してもらう——本当に、それは親だけなのかもしれません。私たちはとても大切に育てられて、今ここに生きています。親からもらったこの命を、生かしていく。
でも、私たちは親にだけ愛されて生きてきたでしょうか
考えてみてください。
今ここに私たちがいるということは、本当に多くの方のおかげです。たくさんの愛によって、私たちは今ここに存在しています。
誰ひとりとして欠けてはいけない。その多くの関わり合い、関係性のなかで、今こうして私たちは生きることができています。
親御さんがいらっしゃらなくなったとしても、あなたを必要としている方は、たくさんいらっしゃるのです。あなたを愛してくれている方も、たくさんいらっしゃいます。
もし「いない」と思うのなら、自分から届けてみる
もし、そう思えないのであれば——ご自身から、愛を届けてみてください。
「ちょうだい、ちょうだい」と言っているばかりでは、誰も何も与えてくれません。私たちからアクションをしてみる。自分から人を愛してみる。自分から人に心を開いてみる。
そうやって自分からいい関係性を築こうとしていくと、相手の方も必ず、いい関係性を返してくださいます。
「そんなことないわ」という方も結構いらっしゃるのですが、ちゃんと向き合えているでしょうか。ちゃんと愛を伝えているでしょうか。
愛を与えると、愛でしか答えられないんですよね。逆もまた然りです。大切にしてもらった人に、プンプン怒れますか。できないですよね。大切にしてもらったら「この方は大切だな」と思う。大切な方には、大切なものを返そうとなるじゃないですか。
仏教では「愛」という言葉をあまり使わない
無条件で愛してくれる親御さんがいらっしゃらなくなったからといって、この世の中から愛がなくなるのかといえば、まったくそんなことはありません。
実は、仏教では「愛」という言葉をあまり使いません。なぜなら、愛は執着を生むから、という考え方なのです。
そこで、「慈悲(じひ)」と言います。慈悲心、慈悲ですね。
その慈悲を、ご自身からどなたかに——できれば不特定多数の方に降り注いでいただきたいのですが、それが難しい場合は、特定の方でも大丈夫です。
関係性を築きたいと思う方に対して、待っているのではなく、ご自身からちゃんと与えていく。伝えていく。そして大切にしていく。
それをやってみてください。きっと、素敵な関係性ができあがっていくと思います。
いただいた命を輝かせることが、いちばんの供養
親御さんの愛をいただいたこの体、そして育ててきていただいた環境や心。そういったものを育てていただいた恩をちゃんと忘れずに、この命を輝かせていくことが、親御さんやご先祖様への供養になるんですね。
いただいたものを大切に活かしていくためには、どうすればいいか。関係性をちゃんと築いていくことです。ではその関係性を築くには——まずご自分から、相手に対して慈悲を与える。自分の持っているものを、ちゃんとお渡しする。
そうしていくうちに関係性がうまく巡っていって、「なんだか満たされているな」という日々が、どんどん多くなっていくと思います。
おわりに
もちろん、大切な方を亡くしたお気持ちは、とてもよく分かります。
無条件で愛してくれる親御さん。あの甘えた感じ。親にしか見せられない顔。たくさんあったと思います。
でも、それだけを求めて「寂しい、もう嫌だ」となるのではなく、ご自身がこれから誰かのために何かを与えていく。そうなさると、必ず親御さんに代わる大きな愛を見つけることができると思います。
親御さんへの感謝を忘れずに、ご自身の命を輝かせてみてください。
ひとりで抱えこまないで
仏教は、我慢や修行をすすめる教えではありません。ものの見方が少し変わると、同じ出来事でも、ずいぶん楽になります。がんばりすぎなくて、いいんです。
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この記事をお話しした人
竹下暁蓮(たけした ぎょうれん)
ヨガを続けながら仏門へ。病と、大切な人の喪失を経て、あなたの今に寄り添う僧侶。
約550年つづく浄土真宗のお寺・慈徳山 得藏寺が運営する、誰にでもひらかれた、やさしい仏教の入口「仏陀倶楽部」でお話ししています。





















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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