「30代の息子が、部屋から出てこなくなって3年経ちます。自分の育て方が悪かったんじゃないかと、自分を責めています」
そんなお便りをいただきました。
引きこもりは今、社会現象と言ってもいいほど多いご相談です。だからこそ、「自分の育て方が悪かったのかな」と責める前に、まずちゃんと向き合ってほしいことがあります。
いきなり始まったわけではない
3年前、何があって引きこもり始めたのか。そこに、ちゃんと気づいてあげてほしいのです。もちろん、引きこもっていらっしゃるからお話もできない、というのはよく分かります。
それでも、お子さんは生きています。お手洗いにも行くでしょうし、ご両親が家を空けている間に、台所へ食べ物を取りに行ったりもしているはずです。ずっと閉じきりでいられるわけではありませんから。
ただ、引きこもりは長引けば長引くほど、余計に出てこられなくなっていきます。なるべく早く、なんとかしてあげたい。でも、「引きこもってるから」「暴れるから」といって、放っておくことだけは、一番よくありません。
扉越しでも、伝え続けてください
じゃあ、どうすればいいのか。
扉越しでもいいので、ちゃんと声をかけてあげてください。「ずっと気にしてるんだよ」「私はあなたの味方だよ」ということを、ずっと伝え続ける。寄り添い続けることをやめない。まずはそれが大事です。
もし、部屋の前にご飯だけをそっと置いて、それで済ませてしまっているなら——今すぐやめてください。それは違います。
それは、あなたのせいじゃない
ご自身を責める必要は、まったくありません。
なぜなら、それは息子さん――彼自身の問題だからです。もちろん、彼に寄り添ってあげることは、一番重要なことです。何が原因でそうなったのか、探してあげてほしい。もしご両親だけで解決できないなら、専門家の力を借りることも考えてみてください。
長引けば長引くほど、お部屋から出られなくなっていきます。それはきっと、何かが怖いから、何かが辛いから。その怖さや辛さの原因を見つけてあげたくても、ご両親が相手だと「うるさい」「どこか行け」となってしまうこともあります。そんな時は、他人の力を介入させることも、選択肢のひとつです。
放っておかないで、扉越しにでも、毎日毎日、お声かけを続けてあげてください。
ベクトルを、自分ではなく彼に
「どうしよう、私が悪いんだ」——そう思ってしまう時、そのベクトルは自分に向かっています。それを、ちゃんと息子さんへ向け直してあげてください。
この子の苦しみを、どうやって取ってあげられるだろう。この子を、どうしたらこの狭い世界から出してあげられるだろう。そこにしっかりベクトルを向けてください。
慈悲です。慈悲心。
仏教は、慈悲と知恵の教えです。ぜひそれを、フル活用してもらえたらと思います。
少しずつでいい
こういった問題は、一気に解決するものではありません。今日お伝えしたことを、少しずつ実践してみてください。そして、その後どうなったか、また教えていただけたら。そうやって対話を重ねながら、息子さんを一緒に、ひらかれた方向へと戻して差し上げられたらと思います。
ぜひまず、お声かけから実行してみてください。応援しています。
ひとりで抱えこまないで
仏教は、我慢や修行をすすめる教えではありません。ものの見方が少し変わると、同じ出来事でも、ずいぶん楽になります。がんばりすぎなくて、いいんです。
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関連する話として、執着を手放すことや、精進という言葉についても、コラムでお話ししています。よろしければあわせてどうぞ。
この記事をお話しした人
竹下暁蓮(たけした ぎょうれん)
ヨガを続けながら仏門へ。病と、大切な人の喪失を経て、あなたの今に寄り添う僧侶。
約550年つづく浄土真宗のお寺・慈徳山 得藏寺が運営する、誰にでもひらかれた、やさしい仏教の入口「仏陀倶楽部」でお話ししています。





















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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