「死ぬまでにやりたいことリストを書こうと思ったんだけれど、何もやりたいことが浮かばない自分に驚愕しています」
そんなお悩みをいただきました。
これ、今の若い子たちにも、実はすごく多いんです。「本当にやりたいことって何?」と尋ねると、「特にないです」「よく分からないです」という方が、かなりの確率でいらっしゃいます。
なぜ、何も浮かばないのか
やりたいことが何も浮かばないと、自分でもびっくりしますよね。
これはたぶん、やらなければならないことを、ずっと優先してやってこられた結果だと思うのです。
やるべきことが、ずっと目の前に置かれていた。それをこなしていけば、どうにかなってきた。仕事、子育て、パートナーのこと——何の疑いもなく、目の前にあることをこなしていっただけの人生だったとしたら。
いざその「こなすべきこと」がなくなって、ふっと立ち止まったときに、「やりたいことって一体何?」とわからなくなっている人が、実はめちゃくちゃ多いと思うんですよ。
まずは「やりたくないこと」から聞いてみる
じゃあ、どうしたらいいか。
私が「何をやりたいのか分かりません」という方にいつも聞いているのは、「じゃあ、やりたくないことは何?」ということです。
やりたくないことは、割とみなさん、バチッと分かるんですよ。
やりたくないことをずっと書き出していくと、「あ、これ興味あったかも」「これ、ちょっと好きだったかも」というものに、不思議と出会っていきます。
自分の心の声を、聞き取れていただけ
長いあいだ、自分の心と対話ができていなかったら。自分の心が発信している声を聞き取れていなかったら。
本当に自分が何に対してワクワクするのか、どういうときに心が輝くのか、どういうときに満たされるのかが、ほんとうに「わからない、わからない」になっていくんですね。
まず、やりたくないことのリストを作る。次に、「これをやったらまあまあ好きだな」と思うことの好きリストを作る。そして、比較的楽しいと思えることの楽しいリストを作る。
そうやって一個ずつ、丁寧にやっていくと——やりたくないことは明確に分かる。好きなものも分かってくる。好きとはまた別に、楽しいと思えることも分かってくる。
そのころになると、「若い時こんなことやりたかったかも」「お金がないから、時間が足りないから、今やるべきことがあるから」と言って置いてきてしまったことが、ふっと思い出されてきます。
本当に「対話する」ということ
一つ一つ丁寧に、自分と対話をすることを、ちょっとやってあげてください。
意外と多くの人が、自分と対話できていないと思うんです。自分の外側にいる人とは、どうでもいいことも何でも喋るのに。
本当の自分と対話している方って、実は少ないんじゃないでしょうか。
ただ、ぼんやりと「何がしたいかな」と思い浮かべるだけじゃなくて、ほんとうに会話するんです。
私って何が好き?
そうやな、食べ物やったらドーナツかな。動物やったら犬と猫かな。
じゃあ、ドーナツの何が好きなん?
そんなふうに、自分でこうやって対話をしていくんです。そしたら、ちゃんと答えが出てきます。コロンと美しく輝く、自分が求めてる答えが、必ず出てきます。
(死を意識することから、生きる意味を見つめ直す考え方については、コラム「メメント・モリとは?「死を思え」という言葉に込められた本当の意味」でもお話ししています。あわせてどうぞ。)
おわりに
やりたいことが浮かばないのは、あなたに何かが欠けているからではありません。やらなければならないことを、ずっと丁寧にこなしてこられた証拠です。
まずは、やりたくないことから。次に、好きなこと、楽しいこと。一つ一つ、自分の心と対話をしてみてください。
(今あることに満足しながら、心の声を聞いていく「足るを知る」については、コラム「足るを知るとは?本当の意味と日常で実践するコツを解説」もぜひ参考にしてください。)
きっと、死ぬまでにやりたいことリストが出来上がると思いますよ。
ひとりで抱えこまないで
仏教は、我慢や修行をすすめる教えではありません。ものの見方が少し変わると、同じ出来事でも、ずいぶん楽になります。がんばりすぎなくて、いいんです。
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この記事をお話しした人
竹下暁蓮(たけした ぎょうれん)
ヨガを続けながら仏門へ。病と、大切な人の喪失を経て、あなたの今に寄り添う僧侶。
約550年つづく浄土真宗のお寺・慈徳山 得藏寺が運営する、誰にでもひらかれた、やさしい仏教の入口「仏陀倶楽部」でお話ししています。




















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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