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足るを知るとは?本当の意味と日常で実践するコツを解説

現状の自分に満たされず、さらに上を求めて自身を追い込んでしまう方は、心も身体も疲れていることに、ふと気づくはずです。

上記のような悩みを持つ方に、仏教では「足るを知る」という言葉を教えています。

足るを知るを理解すると、自分自身を苦しめる考えから解放され、心が楽になるきっかけとなるでしょう。

そこで今回は、足るを知るとは何か、本当の意味と日常で実践するコツについてご紹介します。

足るを知るとは?読み方や意味について

「足るを知る」とは「たるをしる」と読み、現状の自分や環境に感謝し満足する、という意味です。

理想とする自分と今の自分を比べて足りないものに対して憤りを感じる、他人と比較して劣っている部分があると落ち込むなどは、「足るを知る」の真逆な考えです。

さらに、理想や劣っている部分を仮に手に入れたとしても、自分が幸せだと感じられる考え方を持っていなければ意味がありません。

そのため、今の自分・環境に満足して幸せを感じることで、前向きになれる考えが「足るを知る」なのです。

際限なく求める考えは”執着”にあたり、仏教でも捨てるべき思考とされています。

現代における誤解と本当の意味

「足るを知る」は、現代で誤解されやすい考え方ではあるでしょう。

なぜなら、捉え方によっては、現状の自分に妥協する・諦めると認識できてしまうからです。

しかし、先ほどお伝えしたように「足るを知る」の本来の意味は、今の自分や環境に満足して感謝をすることです。

決して妥協や諦めからくる言葉ではないため、誤解しないように注意しましょう。

「足るを知る者は富む」が嫌いと言われる理由

中国の哲学者である老子が説いた「足るを知る者は富む」という言葉が嫌いな方も中にはいるかもしれません。

嫌いな理由としては、今の自分に満足=向上心や成長する気がないような言葉に聞こえてしまうからでしょう。

また、今の自分を知って満足したとしても富を築けるわけではありません。

だからこそ、「富む」の部分が嘘のように感じられてしまい、嫌いだと感じてしまうのでしょう。

しかし、老子が言う「富む」は心の豊かさを説いており、お金や地位・名誉を指しているわけでも、成長を止めろと言っているわけでもありません

今の自分や取り巻く環境に目を向け、それぞれの良さに気付き感謝できるようになるのが「足るを知る者は富む」です。

これまで誤解していた方や嫌いだと言っていた方は、今一度「足るを知る者は富む」の本当の意味を改めて理解してみてください。

「足るを知る」は英語で言うと何?

「足るを知る」は英語で表現する場合、以下のような表現方法があります。

  • Contentment with what one has
  • Appreciating sufficiency
  • Knowing when enough is enough

現在持っているもの・状況を把握して、必要以上に求めない心の状態を指す表現が「Contentment with what one has」です。

「Appreciating sufficiency」は、さらに現状に満足・感謝するという意味合いも強いため、どちらも「足るを知る」と捉えることができるでしょう。

「Knowing when enough is enough」については、現時点を適切に見極めて無理をしない、といったニュアンスの熟語です。

微妙な違いはあるものの、いずれも「足るを知る」の意味で使えるので覚えておきましょう。

足るを知るの出典|老子の教え

「足るを知る」という言葉は仏教にもありますが、中国の哲学者である老子が説いたとも言い伝えられています。

ここでは、老子が教える「足るを知る者は富む」についてご紹介します。

老子が教える「足るを知る者は富む」とは

老子は古代中国の春秋時代に、執着を捨てて自然な生き方を重視する「道(タオ)」を広めたとされる人物です。

その老子が説いた教えの中に「知足者富(足るを知る者は富む)」という言葉があります。

これは地位や名誉、財の有無にこだわるのではなく、今の自分自身を認めることが幸せに生きるコツだという言葉です。

老子は欲を持ちすぎずに執着をなくす無為自然の考えを重視しています。

だからこそ、今の自分を理解して認めることが、心を豊かにすると説いているのです。

仏教にも通ずる「足るを知る」

「足るを知る」は、仏教でも中心の考えであり、お釈迦さまの教えが記載されている「法句経」にも「知足は第一の富なり。」と記載されています。

また、「仏垂般涅槃略説教誡経」でも、足ることを知る者は地べたで寝る事があっても、幸福を感じることができるとも説かれています。

仏教では「小欲知足(しょうよくちそく)」

仏教では「小欲知足(しょうよくちそく)」の教えが広く伝わっています。

「足るを知る」の意味である知足に加え、不要な欲を抑える小欲も修行によって身につけていこう、という考えです。

人間は誰しも欲望があり、全ての欲を無くすのは難しく、修行を積んだ僧でもほぼ不可能です。

そのため、欲を全く無くすのではなく、少なくしてコントロールしていく必要があると仏教では説いており、それが「小欲知足」です。

なぜ仏教は欲を問題にするのか

仏教が欲を問題とするのは、苦しみの原因は執着であり、執着は欲から生まれるとしているからです。

財を築きたいという欲望も、財があることで得られる世界や生き方に執着しているのであり、欲を満たすために手段を選ばなくなってしまうことも少なくありません。

また、自身が満足する財を築くことができない自分にも憤りを感じてしまい、苦しみを生んでしまうでしょう。

仏教では、今の自分は自分でしかなく、そのままを受け入れることが幸せであると説いています。

そのためには、上記で述べたような欲を問題にし、幸せになれる考え方を教えているのです。

龍安寺のつくばいに刻まれた「吾唯 足るを知る」

京都市右京区にある大雲山 龍安寺のつくばいには、「吾唯足知」という文字が刻まれているのが有名です。

龍安寺のつくばいは、中心を口と見立てて、上下左右に吾・唯・足・知の文字が彫られています。

このトリックは、多くの人が注目を集めて噂が広まり、そこから日本では「足るを知る」が知られるきっかけになったようです。

龍安寺は著名人が絶賛している

龍安寺の方丈庭園は、かつてのイギリス女王であるエリザベス2世が訪れた際に、絶賛したことから世界的に注目を集めました。

いわゆる侘び寂びの文化と、室町時代に流行した禅を形にした庭園で、自分と向き合う時間を過ごさせてくれるのが特徴的です。

また、龍安寺の鏡容池は、春は桜、夏は睡蓮、秋は紅葉、冬は雪化粧という四季折々の姿を写してくれる点でも人気となりました。

エリザベス2世以外にも、Apple創業者であるスティーブ・ジョブズも龍安寺を訪れ、絶賛しています。

なぜ人は「足りない」と感じてしまうのか

仏教では「足るを知る」の大切さを説きますが、なぜそもそも人は「足りない」と感じてしまうのでしょうか。

ここでは、人が足りないと感じてしまう理由について解説します。

比較するのが常にある

世の中は、常に比較することが習慣となっています。

特に足りないという感情を加速させてしまうのは、他人と自分の比較や理想の自分と今の自分を比較することです。

他人と比較をすると、必ずご自身に足りない部分が見えてしまい、補おうとして欲してしまいます。

理想の自分はすでに足りない部分を補った自分になるので、常に追い求めてしまうのも「足るを知る」から離れた行為となるでしょう。

目標を持って修行や邁進するのは良いことではあるものの、自分が現在持っていないものに劣等感や執着をしてしまうのは良くない考えだと言えます。

競争社会が根付いている

現代は競争社会と言っても過言ではないほど、他よりも優れ、勝利することが求められています。

そのため、成果を出したとしても常に上を見なければならず、自分の足りないものを改善していかなければなりません。

この考えは、幼少期から根付いてしまっている場合が大半なので、無意識のうちに競争する思考になっている方も珍しくないでしょう。

足りないと感じてしまうのは、あなたが問題なのではなく現代社会の流れである点も理解しておくべきです。

無限の欲望に晒されている

膨大な情報に晒されている昨今においては、無限の欲望に駆り立てられてしまうのも事実です。

ひとたびインターネットを開くと、世界中で起こるニュースやイベントなど、さまざまな情報を閲覧できます。

だからこそこれが欲しい、あれをやってみたい、といった無限の欲望に晒されてしまうのです。

全ての情報を断つ必要はありませんが、欲望が沸きやすくなる環境に身を置いている自覚を持って生活をしなくてはいけません。

足るを知る生き方を実践する3つのコツ

足るを知るを理解すると、肩の荷が降りるように楽な生き方ができるはずです。

どのような点を意識するべきなのかを、以下の3点にまとめました。

  • 今の自分が持っているものに目を向ける
  • 比較・競争を手放す
  • 欲望は否定せずに観察する

それぞれを実践し、苦しくない生き方を見つけてみてください。

今の自分が持っているものに目を向ける

足るを知る生き方をするには、まず今の自分が持っているものに目を向ける必要があります。

  • 自分の持っているスキル
  • 自分が築いた人間関係
  • 自分の性格・趣向
  • 自分の生活リズム

今の自分について知ることができれば、それ以上を求めるのは自分を苦しめることだと気づけるはずです。

もちろん、成長するためにある一定のスキルや成果を目指すのは問題ありません。

ただし、成果が得られても得られなくても、今の自分が自分であることは変わらず、努力をした自分を認められる意識を持ちましょう。

今の自分に目を向け、認めてあげるのが「足るを知る」の第一歩です。

比較・競争を手放す

自分にないものを欲してしまうと執着にとらわれやすくなります。

そのため、足るを知る生き方を目指す場合は、比較・競争を手放す考え方が大切です。

  • 自分はココが足りないと考えるのをやめる
  • 他の人の成果や持っているスキルを自身と比べない
  • 勝負事は勝ち・負けではなく自分が努力したかどうかを見る

現代社会において、比較・競争は避けられない場面も多々あるでしょう。

しかし、順位や優劣をつけるのではなく、自分が努力したか、成長したかどうかで判断するのがおすすめです。

もし、努力ができているなら、他者に何と言われようとも成長している証拠であり、認めてあげる必要があります。

他者と優劣を決めるだけの比較・競争は、心身が削れてしまうので、発想を切り替えていきましょう。

欲望は否定せずに観察する

欲は捨てるべきとされる仏教の教えでさえ、欲望は沸いて出てしまうものと教えられます。

そのため、日常生活において出てくる欲望は、ある種仕方のないことなのです。

だからこそ、出てくる欲望に対して全て悪だと決めつけるのではなく、観察するのが大切です。

  • 欲が出ている自分を認める
  • なぜその欲が出てきたのか
  • 少しずつ欲望を捨てる工夫をしていく

急に欲望を少なくするのは難しい話なので、少しずつ練習をしていくことが大切です。

もし自分自身では欲望を抑えられないのであれば、他者に協力してもらうのも良いでしょう。

「足るを知る者は富む」は心を楽にする生き方

「足るを知る者は富む」は、現状の自分を認めて必要以上に欲しない生き方・考え方をする人は、心が楽になれると説いた言葉です。

決して、成長を止めたり向上心を持たなかったりする意味ではありません。

「足るを知る」の意味を正しく理解し、あなたの生き方に取り入れてみてください。

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監修者 「愛葉 宣明」

僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。

信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」

愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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