「誰にも必要とされていない気がする。」
60代前半の男性の方から、こんなお便りをいただきました。
定年退職して1年になります。38年間、会社のために働いてきましたが、辞めた途端に電話も鳴らなくなりました。家では妻に「邪魔」と言われ、日中はテレビを見て過ごしています。誰にも必要とされていない気がして、朝起きる理由が見つかりません。
「役に立ってる自分」が、自分だった
38年もの長きにわたり、会社のため、家族のため、一生懸命働いてこられた。その「役に立ってる自分」が、そのままご自身のアイデンティティになっていたのではないでしょうか。
それが定年退職とともに、電話が鳴らなくなり、家でも「邪魔」と言われる。今まで自分を支えてきた土台が、静かに崩れていくような感覚だったと思います。本当につらいですよね。
阿弥陀様の本願は、何もできない者をこそ救う
阿弥陀様の本願、本誓願は、役に立つ人のためではなく、何もできない凡夫だからこそ救うというふうに誓われたものです。私たち凡夫だから救われる。この安心を、まず心に留めておいていただければと思います。
でも、私たち人間の価値は、役に立つかどうかでは決まりません。生産性があるかないかでも決まらないんです。
本当に私たちは、ただ生きてるだけで、誰かの笑顔につながっているんですよね。それだけで十分に、生きる価値があるんです。
阿弥陀様の本願については、こちらの記事でも詳しくお話ししています。
▷ なぜお念仏を称えるのか――阿弥陀如来の本願をよりどころに
待ってる側から、届ける側へ
必要とされるのを待つより、届ける側に行かれたらいかがかなと思います。本当に小さな小さな「陰徳」から積んでいかれるといいなと思うんです。
例えば、朝早めに起きて街のゴミを拾うとか、そういったことをご自身から届ける側になられると、また日常も変わってくるのかなと思います。
つらさが続くときは、専門家の力も
もしも辛さが続かれるようであれば、専門家の力もお借りされるといいのかなと思います。「朝起きる理由が見つからない」というのは、心の不調のサインでもあります。ご自身だけで抱え込まず、そういった力を借りることも、どうぞ自分に許してあげてください。
そこまででないのであれば、ぜひご自身から、そういった小さな陰徳から積んでいっていただけたらと思います。自分のやりたいこと、何かできることを、ぜひ見つけていってみてください。
ひとりで抱えこまないで
「誰にも必要とされていない」と感じる日があっても、あなたの価値は、役に立つかどうかで決まるものではありません。うまくいかない日があっても大丈夫。ひとりで抱えこまず、そっと話してみませんか。登録も利用も無料で、いつでもやめられます。
この記事をお話しした人
竹下暁蓮(たけした ぎょうれん)
ヨガを続けながら仏門へ。病と、大切な人の喪失を経て、あなたの今に寄り添う僧侶。
約550年つづく浄土真宗のお寺・慈徳山 得藏寺が運営する、誰にでもひらかれた、やさしい仏教の入口「仏陀倶楽部」でお話ししています。




















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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