あるとき、弟子たちと托鉢(たくはつ)に出かけたとき、お釈迦様が貧しいものばかりが住む集落に向かおうとしたそうです。
そこで弟子が「裕福な人々が住む地域になぜ行かないのか?」とたずねたら。
「布施は貧しい者ほどしなければならない。たとえ米粒1つでも布施をして功徳を積んだら、今の貧乏から抜け出せる」とおっしゃったという話があります。
そしてそのときのお釈迦様は、托鉢で得たわずかな米でつくられた粥を食べながら 説法したと言われています。
仏教では、貧しい人は「これまで他人に何も与えてこなかったから、そうなった」 と考えます。
「与えるものに、与えられる」これが「布施」と言われる、仏教の基本的な考え方なのです(布施はもともと法施(ほうせ)、財施(ざいせ)、無財の七施(むざいのしちせ)がありますが、ここではあえて財施の意味で使います)。
お金への執着を減らすためには、お金を誰か、そして何か自分以外のためになることに使ってみるのがいいでしょう。
たとえば、コンビニのレジ脇にある寄付金ボックスに小銭を入れるのもいい。お世話になっている人にプレゼントを贈るのもいいでしょう。
手放すことで、すがすがしい気持ちになれるものに使ってみるのです。
ここで大切なのは、惜しんだり、痛みを感じたりしない金額を寄付するのが重要です。
小銭入れにたまった1円玉、5円玉でもいいのです。寄付するのがつらくなければ、100円、500円と増やせばいいでしょう。
気持ちよく手放すことで、心の豊かさを感じることができる。たとえ小さな金額でも、積み重ねていけば、自然とお金の執着が減ってくるはずです。