執着を生む原因とは
あるとき、ボクは知り合いの男性からこんな相談を受けました。
10年以上も付き合っている彼女がいて、「行きたい!」と言われる場所には必ず連れていき、「欲しい!」というものは、ほとんど買ってあげている。
それなのに、自分から「ここに一緒に行こう」「次のデートはこれをしない?」と提案すると、ことごとく断られるというのです。
「彼女はほんとうは、自分のことを愛していないんじゃないか?」 、そうこぼしていました。
ボクがその男性に答えたのは、「彼女がどうというよりも、あなた自身が彼女の行きたいところに連れて行くことや、 何かを買ってあげることで幸せならやればいいし、やりたくないことはやらなければいい」ということです。
「モノを買ってあげたから、自分の要望も聞いてもらおう」、または「1回言うことを聞いてあげたから次はボクの番」というような「ギブ&テイク」を求める関係は、執着を生む原因となります。
特に恋愛関係においては、何かを差し出したから、同じように返してほしいと期待しないほうがいいでしょう。
もちろん、誰にだって「見返りがほしい」という気持ちはありますから、すべてを否定するわけではないのです。
礼儀正しくあいさつをするのは「いい人」だと思われたいから。
人にやさしくするのは、相手にもやさしくしてほしいから。
そんな気持ちから行動するのも悪いことではありません。
でも「何をやってでも相手に気に入られたい」と考えて、ひたすら相手の要望を受け入れていると、行動の基準が自分ではなく他人になります。
そして、何をすれば自分が幸せになるかを見失って、この相談者の男性のように相手の気持ちを疑うようになってしまうのです。
自分の心が心地いいと感じる範囲のことは、せいいっぱいやってあげる。
そうでなければ、やんわりと断るか、自分のできることで代案を提案すればいいのです。