執着は捨てる?
仏教の基本スタンスとして「あらゆるものや人に対する執着をなくすと、“苦”を手放せる」があります。
そのため、多くの宗派では執着を減らしたり手放したりすることが、幸せになる近道だとされています。
でもボクは、欲や執着心をムリに抑えようとする必要はないと考えます。
欲や執着心は、物事を成し遂げる強いエネルギーになり得るからです。
また、この世で生きていて、欲や執着心を完全に手放すことはむずかしいでしょう。
ボクだって「よけいな欲は捨てたい」という気持ちが強くあり、言葉を変えればこれは「欲を捨てる」ことに執着していると言えます。
「悟りを開こう」として修行をしている僧侶だって、「悟りを開く」ことに執着しているとも言えるでしょう。
お金が欲しいなら、とことん稼ごうと働いてみるのもいい。
好きな人に振り向いてもらおうと、あらゆる手を尽くしてみるのもいい。
そうすることで、もし望んだ結果にならなかったとしても、自分がほんとうに何を求め、何を大切にしたいのかが見えてくるからです。
今をよりよく生きるためには、こうしてわかった自分にとって「ほんとうに大切なもの」から満たしてあげるのが大切です。
ボクにとっては、経営者としてたくさんのビジネスを運営しお金を稼ぐことよりも、 ビジネスはそこそこにしてでも、心を許せる人と会い、食事をしながら楽しい時間を過ごすほうが何倍も大切なこと。
昼も夜もなく働けば、もっと稼げるにもかかわらずです。
ただし、あれもこれも追い求めるのではなく、しっかりと自分なりの優先順位を見極めなければなりません。
何を大切にすれば、自分が心から幸せになるのか。
それがわかるまでには、あれこれ試してみる時間が必要でしょう。
ボクは、ビジネスで成功しようと必死だったときに、さまざまなビジネス書に影響されて、毎日のようにいい口グセを唱えてみたり、やたらと「ありがとう」を連発したりしたこともありました(笑)。
でも、当然ですが、そのやり方ではビジネスが思い通りにいくことはありませんでした。
また、そのやり方で幸せな気持ちになったこともなかったため、世間で言われてい る「幸せになる法則」のようなものは、誰にでも当てはまるわけではないと実感しました。
こうして、本気でいろいろなことにトライしているうちに、自分なりの幸せが見えてきたのです。
自分がほんとうに大切だと思うモノには、まず執着してみるのも良いのです。