お金は、その人の「コンフォートゾーン」に見合った分が入ってきます。どのくらいの収入があれば快適に暮らせるか、それは一人一人異なります。いくらあって、どんな暮らしができれば「報われた」と感じるのかは、自分の心を深掘りしていくことでしかわかりません。
自分の「コンフォートゾーン」を知らないと、「多ければ多いほどいい」と考えたり、一般的に出回っている情報に踊らされて「とりあえず、年収1000万円」「いや、宝くじで1億当選したら幸せ」などと考えます。まずは、自分がどういう暮らしをしたいのか、そのためにはいくら必要なのかを明らかにすることです。
その上で、自分が求めるライフスタイルのためには、あとどのくらい稼げばいいのか考えればいいのです。もしかしたら、よく自分に問いかけてみたら、今の収入で十分幸せだったという人もいるかもしれません。
そうであれば、ムリに「1000万だ」「1億円だ」と追いかける必要はないでしょう。
自分に問いかけた上で出てきた答えが「年収2000万円あれば幸せになれる」だったとしましょう。そうであれば、あとどれだけ稼げば2000万円になるのか、それはどうやったら実現できるかを考えればいいのです。

自分の「コンフォートゾーン」を広げるためにできる、カンタンなことがあります。それは、実際にどんな人が、どんな方法で年収2000万円稼いでいるのかを調べてみること。 インターネットや書籍を探せば、さまざまな方法で稼いでいる人が見つかるはずです。
これまでは「社内でどれだけ出世しても1000万円か」と、今ある状況でどうやって収入を増やすかにしか目が行かなかったのが、ほかの可能性に気づくようになります。そうして少しずつ、「コンフォートゾーン」が広がっていくのです。
ただし、お金は上手に使うことにも気を配る必要があります。2020年の12月の時点で、個人の金融資産1900兆円のうち、1056兆円が現預金だったという調査結果を見ると、日本人は働いて稼いだお金の多くを貯金に回しているという事実がわかります。
日本人が貯金が好きなのは、もしかしたら贅沢をせずに節約して貯金をすることが「清く正しい」という常識を持っているからかもしれません。でも私は、切り詰めて1円でも多く貯金をするくらいなら、自分のために使ったほうがよほど「報われる」人生に近づくと考えます。
自分が何をすれば満たされるかを知り、そのためにお金を使うのは決してムダではありません。今しかできない経験のために使うお金は、自分の「コンフォートゾーン」を広げ、将来的には何倍もの価値を生んで返ってくるからです。
たとえばあなたが、車が好きで好きでたまらなく、特にフェラーリが好きだとしましょう。そうであれば「そんな高級外車、ぜいたく!」と決めつけず、たとえ6畳一間のアパートに住みながらでも、ローンで購入してもいいと私は考えます。
休日に、フェラーリに乗って出かけることで最高に幸せな気持ちになるだけでなく、実際に自分のものとして乗ることで、さまざまなことが見えてくるはずだからです。フェラーリはブランディングに優れた企業であり、非常に高い価格で中古の相場が形成されています。
そのため、モデルにもよりますが、買ったときよりも高値で売れることがあります。
また、レースをバックボーンとして生まれた車ですから、エンジンサウンドがほかの車とは違う。それを実際に体感し、感動を誰かとシェアしたいと、イベントなどに参加するようになったとしましょう。 そうして、行動を起こすと思いもかけないことが起こる確率が高まります。「フェラーリ好き」という同じ価値観を持つあなたのことを、応援しようとしてくれる人が現れるかもしれません。別荘に招待してくれるかもしれませんし、仕事を紹介してくれるかもしれません。何もしないで節約に励んでいるよりも、人生が大きく展開する可能性がずっと高まるのです。