私は現在、会計事務所を経営して37年、65歳になる男性です。27歳のときに事務所を開業し、数多くの経営者の人生に関わる中で、一人の人間として、また職業専門家として、自らの在り方を問い続けてきました。その歩みの中で、心の在り方と経営の関係、そして仏教の教えに深い示唆を得るようになり、やがて得度を志すに至りました。
長年、会計業務を通じて様々な企業に関わる中で、強く印象に残っている経験がいくつかあります。
一つ目は、同じ業種・同じ立地条件であっても、経営者の「心の在り方」ひとつで売上や利益に大きな違いが出るという事実です。学歴や年齢、性別、実務経験の多寡に関わらず、経営の成否を分けるのは、最終的には「心」であるという確信を得ました。
二つ目は、ある会社での争続問題です。社長である父親が急逝し、相続財産の分配を巡って役員であった兄弟間で争いが起こりました。その過程で、各相続人間の不平等感を理由に信頼関係が崩壊し、やがて顧問契約も解除されるという苦い経験をしました。人間関係が壊れる原因の多くは「心の迷い」にあり、そこには仏教でいう「煩悩」が深く関わっていることを痛感しました。
実際、毎年3件〜4件くらいの相続税申告に関与していますが、この37年の間でシンプルに遺産分割協議書を作成して署名捺印して纏まったケースは一件もありません。これがまさに煩悩に翻弄される人間の実相です。
一方で、私事で叔父の連帯保証人となったことによって財産を失ったこと、また三途の川を見るような交通事故を経験したことも、「人生は思い通りにならない(=一切皆苦)」という真理を身をもって知るきっかけとなりました。これが三つ目の理由です。こうした体験を経て、他力による救済こそが真の救いであると気づき、浄土真宗の教えに帰依し、得度への道を歩み始めました。
令和6年7月1日に得度申請を行い、愛葉代表との電話面談を経て、毎週のレポート提出、得度考査、引続き毎週のレポート提出と段階を踏み、令和7年7月13日、ついに得度式を迎えることができました。
法名「釋 行権」を授かり、私の中に新たな命が吹き込まれたような感覚を覚えています。特に、愛葉代表の「仏陀経営」「あなたはもっと報われていい」などの著書を通じて、仏教的視点からの経営という在り方に共感し、大きな影響を受けました。
今後は、仏教的思考に基づいた「心が創る経営」の在り方を、多くの中小零細企業の経営者に伝えていきたいと願っています。私は、仏弟子であると同時に、職業会計人として微力ではありますが日本経済発展の一翼を担う者でもあります。
煩悩に翻弄される人間の姿を知るからこそ、阿弥陀如来の本願を伝え、他力の教えに基づく「安心(あんじん)」を届けることができると信じています。引き続き、自身の寺子屋「塚田の草庵」でも法話を通じてお伝えして行きたいと考えています。
得度という節目を迎えた今、私は心新たに、仏法僧の三宝に帰依しつつ、仏道と職業を両立させる人生を歩んでまいります。合掌

















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
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