仕事や家事、育児などに追われ、もう何もしたくない、ずっと寝ていたいと思ったことはありますか。その原因は、もしかしたら無気力症候群かもしれません。この文章では、無気力症候群になる要因と治し方をご紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
何もしたくない理由として考えられるのは?

何もしたくない理由としては、下記のように、いくつか原因が考えられます。
- 寝不足
『ビジネスマンのための、いつも「ぐっすり」眠れる本』によると、寝不足で仕事している人は、酔っぱらって仕事をしているのと同じ状態だそうで、交通事故の発生率は約4倍違うそうです。睡眠は、それだけパフォーマンスに影響します。
仕事が忙しいと残業が続き、夜寝る直前に食事を食べることが多くなります。夕食を消化するためには3~4時間かかるそうで、腸に食べ物が溜まった状態で寝ると、深部体温が下がらずに熟睡できなくなります。 この場合、残業時間に軽く何かをつまみ、寝る前には食べないことをおすすめします。
残業だけでなく、会社の親睦会などに参加する場合、2次会や3次会まで残ると夜遅くまで飲食することになります。この場合も、なるべく一次会で切り上げるようにして、寝るまでになるべく食べ物を消化すると良いでしょう。
寝不足の原因としてほかに考えられる睡眠時無呼吸症候群は、無呼吸状態が1時間に5回以上ある状態を指します。肥満の方がなりやすいほか、小さい骨格の方もなりやすいそうです。CPAP(持続陽圧呼吸療法)という治療法で症状が改善します。
スマホを寝る直前まで見ることも、睡眠の質に影響します。夜中にスマホに触れることは、エスプレッソ2杯分の覚醒度合いともいわれていますので、注意が必要です。
筆者は会社員時代、通勤電車内で睡眠の穴埋めをしていましたが、ふとんで寝るのとは違い、完全に熟睡はできないため、睡眠負債は溜まっていたようです。寝不足の場合、お昼休みは食事を早めに済ませ、カフェインを摂った後、15分くらい昼寝するのも効果があります。
- 季節性や気圧の関係
体調には、気温の変化や気圧の変化も影響します。
季節ごとの温度の変化や屋内と屋外の気温差などは、自律神経の乱れを生む原因のひとつです。自律神経は自分の体温を一定に保とうとする性質があるため、冬は暖房、夏はエアコンを使うなどして部屋の室温を一定にすると、自律神経の乱れによる疲れを防ぐことができます。
また、夏の雷雨やゲリラ豪雨、秋の台風などの際には、気圧が大きく変動するため、自律神経がバランスを取ろうとして頑張りすぎ、季節バテにつながります。それ以外の季節も、低気圧が近づくと、人によっては頭痛やめまい、関節痛、肩こり、腰痛、だるさなどの不調が出ることも。
これらの対応には、耳を軽くマッサージしたり、ホットタオルや温かいペットボトルなどで耳を温めたりすると効果があるそう。また、気圧調整機能のある耳栓を利用したり、水分バランスを調整してくれる漢方薬『五苓散』を飲んだりするのも効果があるようです。
- 副腎疲労症候群(HPA軸の機能障害)
副腎疲労症候群は、長期間のストレスで脳の反応が低下し、副腎からコルチゾールというホルモンの分泌がうまくできない状態のことです。
朝はコルチゾールのレベルが上がってベッドから起き上がることができますが、長期間ストレスを感じているときは、コルチゾールのレベルが上がり過ぎて、逆に視床下部や下垂体の活動が抑えられ、ブレーキがかかったようになります。そのため、慢性的な疲労感や全身のだるさ、体力の低下、体重の減少などの症状が出ます。
改善するために効果的な方法としては、質の高い睡眠をとる、食生活の改善、定期的な運動習慣などが挙げられます。
- うつ病
うつ病は、感情や思考を司る脳の部位にトラブルが生じて起こる病気です。
強い倦怠感で何もやる気が起きなかったり、家事もする気が起きなくなったり、といった症状が進むと、外出することが苦痛になったり、ふとんから一歩も出られなくなったり、という状態に変化していきます。
わざとさぼっているわけではなく、やらなければいけないことはわかっているのに、どうしてもできない、というのが特徴です。
症状を改善するには、精神科や心療内科に通い、カウンセリングと薬の処方を受けるのが一般的です。現在は初診でもオンライン診療が可能なので、外出できない方は受診してみるのも良いかもしれません(薬の処方は2回目以降(再診)が一般的)。
- 回避性パーソナリティ障害
回避性パーソナリティ障害は、自分への自信のなさや人から否定されるのではないかという恐れのため、社会とかかわることや親密な人間関係を避けることが特徴の障害です。小さいころに、両親に厳しくされたり、愛情が注がれたりしなかったことなどで安全基地が持てなかった場合や両親がいろいろ先回りして、本人の主体性が育まれなかった場合などに起こりやすいそうです。
回避性パーソナリティ障害の方は、読書やゲーム、創作、ギャンブル、アウトドア活動などの逃げ場がない状態だと消耗しやすく、ひきこもりや無気力な状態になることもあります。その状態を改善するには、困ったときには人に相談したり、助けを求めたりするのが有効です。また、得意な分野で職業的に認められると、自信を取り戻すきっかけになります。
- 無気力症候群
無気力症候群については、下の項目で詳しくご説明します。
無気力症候群になる要因とは?

無気力症候群(アパシー・シンドローム)とは、やる気がなくなり、「何をしてもだめだ」と投げやりになって、無気力が強くただよっている状態のことです。2週間以上続く場合、うつ病の可能性も考えられます。
無気力症候群になる原因としては、以下のようなことが考えられます。
- 失敗の原因を自分の能力不足ととらえる
例えば、資格を取得するための勉強を頑張ったのにもかかわらず、試験に不合格だった場合、自分に能力がないため、これ以上良い点はとれない、と考えると、無気力状態になることがあります。
逆に、能力は自分の力でコントロールできるので、次回はきっと合格できる、と考えられれば、無気力状態には陥らないはずです。
- 他者の評価を気にしすぎる
『無気力の心理学』という本によると、よい絵を描いたらごほうびを与えるといわれて絵を描かせた幼児とただ好きに絵を描いてといわれた幼児では、ごほうびを与えるといわれた幼児の方が絵をいっぱい描きますが、絵の質は低い傾向があったそう。また、ごほうびを期待して絵を描いた後から、自発的に絵を描くことが少なくなったそうです。
筆者も、昔は絵を自由に描いていました。しかし、イラストを仕事にしようと考え、絵の先生に見せたり、コンペに出品したりするようになると、この作品を気に入ってもらえるかな、と急に他人の目を意識するようになりました。現在は仕事で絵を描くことはほぼありませんが、昔は絵を描くこと自体を楽しんでいたのに、今は報酬などがないと、積極的に絵を描こうという意欲が湧かなくなってきました。
話は変わりますが、以前、わたしは仕事の成果で評価される会社で働いていました。成果主義だと成果を出さないと評価されないため、多くの人はあまりチャレンジしなくなり、確実にできることしか目標にしなくなるようです。
わたしはADHDの傾向があり、空気が読めなかったため、ちょっと高めの目標を設定してしまいました。日常業務に加え、仕事の成果も出そうと自分としてはかなり頑張っていたつもりだったのに、上司に後輩と比較され、もっとちゃんとしないと、と言われたことで、無気力気味になり、結果、会社を退職することにしました。
- 会社の同僚・先輩がライバルになり、助け合いがない
仕事の成果で評価する会社では、自分が結果を出せば評価が良くなり、給料も上がるので、みんながライバル状態になります。
そうなると、教えてもらう側はもちろん、教える側も感謝されたり、必要とされたりすることがなくなったりするので、自分の存在意義を見出しにくくなり、無気力状態になることも考えられます。

- 目標がない
例えば、40代までに管理職になりたいとか1年後までに資格を取りたい、30代のうちに本を出版したいなど、具体的な目標がないと、日々の仕事をただこなすことになり、自分を高めようとする気力が発揮されなくなります。
- 仕事が多忙を極める
仕事と家事・育児、介護などを両立していても、家族のサポートや励ましなどがなく、何のために頑張っているのかわからなくなる場合や、仕事に熱意をもって取り組んでいても評価されない場合などに、無気力状態になることがあります。
燃え尽き症候群(バーンアウト)とも呼ばれ、意欲を失ったり、アウトプットの質が落ちたり、他人に対して冷たく接したり、といった症状が特徴です。
- 自発性が発揮できない
周りに迷惑をかけたくない方や自己肯定感が低い方は、他人の意見のいいなりになり、素直に従うことが多いかもしれません。ですが、その意見は自分で決めた訳ではないので、自発性が発揮できず、無気力状態になることもあります。例えば、親の希望に応えて大学受験や就職、結婚をするなどのケースが考えられます。
無気力症候群の治し方

無気力症候群を治すには、下記のような方法が考えられます。無気力状態を脱したいとお考えの方は、参考にしてみてください。
- 小さな成功体験を積み重ねる
努力したのに、アピール不足や周りの理解が足りず、自分が評価されていないと思うことは、誰しもあるのではないでしょうか。
その場合、今まで習ったことがないものを始めてみる、いつもと違う道を通る、ひとりで何かをしてみるなど、小さな成功体験を積み上げることで、自己効力感を取り戻すことができます。例えば、昨日よりも体重が0.1kg減った、英単語をひとつ多く覚えられたなど、自己満足かもしれませんが、意外と気分が上がります。
- 人に評価されずに自分が自由にできる活動をする
人に評価されることや金銭やごほうびなどの報酬をもらうことは、相手の評価を意識してしまい、自分の自主性が損なわれるため、無気力症候群になる可能性も秘めています。本当に自分が楽しいと思う趣味を、好きなタイミングで好きな時間だけできることは、自己効力感を持つことにつながります。
わたしは現在、ヨーロッパ系中心に海外ドラマを見ることやひとりママチャリサイクリングにハマっています。ひとりカラオケやお笑いを見て笑う、会社帰りのひとり飲み、いきつけのカフェなどのサードプレイスを持つなど、自分だけのお気に入りを見つけて、人に評価されない機会をぜひ作ってみてください。
きっと、仕事のストレス発散にもつながるはずです。
- ペットや植物を育て、 幸せホルモン・オキシトシンを増やす
無気力の状態から脱するのに、自分がお世話をしないと生きていられないものを育てることは、効果があると思います。お世話をすることで、きっと奉仕や慈愛の精神が育まれるはずです。
逆に、ペットや植物は、そっと寄り添ってくれたり、花を咲かせたりすることで愛情を与えてくれます。
- ボランティアで自己肯定感アップ
ボランティアが偽善的に見えたり、何か良いことを人前でするのは恥ずかしいと思ったりする方もいらっしゃるかもしれません。また、ボランティアは、時間やお金をほかの人に与えるため、一見損しているように見えるかもしれません。
しかし、ボランティアをすることで、人から感謝されたり、良いことをしたという達成感が得られたりして、自己肯定感が上がります。また、清掃のボランティアをすると、きれいで片付いたことに満足するだけでなく、自分の心の中もすっきりするような気がします。
- やらされ感でなく、主体性を持つ
何か周りの雰囲気を悪くしたくない、人に嫌われたくないと思い、親や先生、友人などに自分の意見を言うことができない方は多いのではないでしょうか。例えば進学したいのに就職を勧められるなど、自分が思っているのと違う提案をされても素直に受け入れていると、自分がどう思っているか自体わからなくなり、うまく行かなかったときに「誰々がそう言ったから」と人のせいにしてしまいがちです。
頭の中でいろいろ考えていても、話をしないと周りの人はあなたがどう思っているかはわかりません。意見を持っている場合は、自己主張をして、主体的に行動することをおすすめします。自分がしたくてしていることならば、無気力になることなく、率先して動けるはずです。
何もしたくないとお悩みの方は、仏陀倶楽部で人生のヒントを見つけてみませんか?

これまで、何もしたくない理由や無気力症候群の治し方などをご紹介してきましたが、参考になりましたでしょうか。
何もしたくない、とお悩みの方は、仏陀倶楽部のWebサイトも、ぜひチェックしてみてください。きっと、問題を改善するためのヒントが見つかるはずです。


















