スマートフォンが普及してからは人とつながりが簡単に持てるようになった反面、SNSなどを通じて他人の成功や華やかな生活がついつい目に入りやすい環境になっています。その結果、自分と他人をつい比べてしまい、落ち込んだ経験のある人も少なくないでしょう。人と自分を比べる癖は誰にでも起こり得る自然な心理ですが、日常的に続くと自己肯定感を下げたりストレスを増やしたりする要因になりかねません。
この記事では、人と比べてしまいがちな人の心理的特徴や、比べすぎることのデメリット、比較癖をやめるための効果的な対策を解説します。比較して落ち込む気持ちを軽くできる、有益な情報を発信しているサービスも紹介しているので、「ついつい人と比較して疲れてしまう」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
【ついつい人と比べてしまう】比べてしまいがちな人の心理的な特徴とは

誰かと自分を比べてしまう背景には、いくつかの心理的な特徴が関係しているケースがほとんどです。
ここでは、比べすぎる気持ちと冷静に向き合えるようになれる、他人と比較しがちな人によく見られる心理的特徴を4つ紹介します。自分や身近な人に当てはまる点がないか、確認しながら読み進めてみてはいかがでしょうか。
自己肯定感が低い
自分に自信が持てず、「自分は価値がないのではないか」という思いが強いと、どうしても他人と比べて自分の価値を測ろうとしがちです。そんな形で自己肯定感が低いと、周囲の人の良いところばかりが目について「自分には何も取り柄がない」と感じてしまったり、誰かに褒められてもそれを素直に受け取れず「お世辞ではないか」と疑ってしまったりします。
また、自己肯定感が低い状態では、他人の成功を自分の失敗のように捉えて落ち込みやすく、ますます自信を失うという悪循環に陥りやすい傾向があります。
負けず嫌い
負けず嫌いな性格も、人と比べてしまう原因になりやすい特徴です。常に競争心が強く、何事も勝ち負けで考える傾向があるため、自分が他人より優れていると感じられると安心し、逆に劣っていると感じると悔しさや劣等感に苛まれます。そのため、周囲の人の動向や成果が気になってしまい、常に「人より上でありたい」という意識で他人との比較に心を奪われがちです。
負けたくないという気持ちは、成長や向上心にもつながりますが、行き過ぎると人間関係をギスギスさせたり自分自身を追い詰めたりしてしまうので注意が必要です。
承認欲求が強い
他者から認められたい・褒められたいという欲求「承認欲求」が強い人も、他人と自分を比較しやすい傾向があります。承認欲求が強い人はついつい他人からの評価ばかりを気にしてしまい、物事の判断軸が「自分がどう感じるか」ではなく「周りからどう思われるか」になってしまいがちです。
判断軸を他人にゆだねてしまうと、周囲の誰かが達成したことと自分を比べて落ち込んだり、「もっと頑張って注目されなくては」と焦ったりしてまうので注意が必要です。
思い込みが激しい
自分の中に強い思い込みや固定観念がある人も、比較癖がつきやすいです。以下のような考えに縛られてすぎていると、自分と他人をその固定観念に照らして比較してしまいます
- 痩せている女性こそ美しい
- 男は強くなければならない
- お金がないと幸せになれない
- 結婚は人生のゴールである
思い込み自体は人それぞれが持つものですが、偏った価値観にとらわれすぎると柔軟な考え方ができなくなり、他人の状況と自分を機械的に比べて劣等感を感じるケースが後を絶ちません。とくに現代はSNSやメディアで特定のライフスタイルや成功例が美化されがちなので、情報を鵜呑みにした思い込みには注意が必要です。
比べ過ぎには注意が必要!人と比べてしまうデメリットとは

誰かと自分を比べること自体は、人が自分の立ち位置を知る上で自然な行為です。しかし、何でも他人との比較で考える習慣がついてしまうと、心身に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、人と比べすぎることで起こり得てしまう、デメリットを3つ紹介します。
落ち込みやすくなってしまう
他人との比較ばかりしていると、自分に足りない部分ばかりが目についてしまい、気持ちが落ち込みやすくなります。人と比べて劣っていると感じる頻度が増えると、そのたびに自己嫌悪に陥り、物事に消極的になってしまうでしょう。
落ち込んでしまう習慣が続くと、小さな成功や長所にも気づけなくなり、自己評価がどんどん低下する悪循環に陥ります。一時的に落ち込むだけでなく、「自分なんてダメなやつだ」という思考が癖になっている人は、そんな悪循環に陥っている可能性があるので注意が必要です。
ストレスを抱え込みやすくなる
常に周囲と自分を比べていると、心の中は大きなプレッシャーやストレスでいっぱいになります。自分が他人より優位に立っていなければ不安になったり、誰かの評価に一喜一憂したりする状態は、メンタルが不安定になりやすいです。大きなストレスを抱え込んでしまうと、睡眠不足や集中力の低下など日常生活にも悪影響を及ぼしてしまいます。
また、人と比べることに神経をすり減らすあまり、本来の自分の力を発揮できなくなってしまう点も大きなデメリットだといえるでしょう。
精神的な病気に原因になることも
誰かと比べて感じる劣等感や嫉妬心が常に頭から離れず、自分を必要以上に責めてしまう状態が続くと、やがてうつ病や不安障害といった精神的な病気を招いてしまうリスクがあります。
「人と比べて落ち込むのは病気ではないか」と悩む人もいるほどで、もし比較による落ち込みが日常生活に支障をきたすレベルになっている場合は、専門家に相談することも大切です。「自分は周りより劣っているのではないか」「取り残されるのではないか」といった不安に常にとらわれて辛い場合は、少しずつでも比較癖を改善していくように、行動をはじめてみることをおすすめします。
人と比べてしまうことをやめたい!効果的な対策3選

「もう他人と自分を比べるのはやめたい」と思っても、長年の癖や性格は簡単には変えられない人がほとんどです。しかし、ここで紹介するような効果的な対策を実践すると、少しずつ比較癖を改善して、心を楽にしていくことも夢ではありません。
ここでは、人と比べてしまうことをやめたい際に実践したい、具体的な改善策を3つ紹介します。比較癖を見直すのに役立つ、有益な情報を発信しているサービスについても紹介しているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
1.絶対的価値判断を意識する
物事を評価する際には、2種類の判断方法があります。
| 対的価値判断 | 相対的価値判断 | |
|---|---|---|
| 概要 | 他人と比べずに物事や自分をそのまま評価する方法 | 他人と比較して自分の価値を測る考え方 |
| 考え方の例 | 「自分には~という強みがある」「自分は~ができる人間だ」 | 「自分は○○よりも劣っているのではないか」「周りに勝てなければ価値がない」 |
人と比べてしまいがちな人は、物事を評価するときについ「相対的な価値判断」をしてしまいます。そのため、比較癖を直すには、絶対的な価値判断を意識することが効果的です。
他の誰かと比べるのではなく「自分にはこれがある!」と断言してみる、自分の強みや良いところをノートに100個書き出してみるなど、自分の強みを改めて意識して、絶対的価値判断を習慣づけてみるとよいでしょう。
2.ポジティブな考えを持つ
比較によって生まれるネガティブな感情を和らげるには、意識的にポジティブな考え方を取り入れることを意識しましょう。人と比べて嫉妬や劣等感を覚えたとき、そのまま落ち込むのではなく「どうすれば前向きに捉えられるか」を考えてみると、比較による辛さを軽減できます。
もし、ポジティブな考えを持つのが難しいと考えている場合は、仏教の教えをわかりやすく発信している「仏陀倶楽部」で新たな視点を学んでみることをおすすめします。日常生活のお悩みに寄り添ったコラムを多く発信しているので、疲れている心を癒したい人は、ぜひご覧ください。
3.比較対象を意識する
どうしても人と比べてしまう癖が抜けない場合は、「誰と比べるか」という比較対象そのものを意識的にコントロールすることも一つの対策です。たとえば比較対象を「過去の自分に」すると、自分の成長に目が行きやすくなり、他人の状況に振り回されることを防ぐことが可能です。
また、どうしても他人と比較してしまう時は、他者のペースや基準に自分を当てはめる必要はないと自覚するだけでも、比較によるプレッシャーはかなり軽減されます。
仕事でうまく活用するためにも!比較の種類を理解しよう

落ち込む原因にもなり得る他人との比較ですが、一概に悪いものではありません。心理学では、比較には大きく分けて2種類あり、それぞれ上手に活用すれば自己成長やメンタルヘルスに役立てることも可能です。
ここでは、職場などで前向きに比較を活用するために知っておきたい、上方比較と下方比較という2種類の比較について解説します。
上方比較
上方比較は、自分より優れている人や自分より恵まれた状況と自分を比較する方法です。優れた人と自分を比べることで、自分の課題が明確になったり「もっと頑張ろう」というモチベーションが湧いたりする点がメリットです。
ただし、相手との差が大きすぎると「どうせ自分なんて」と落ち込む原因にもなりかねないため、上方比較をする際は相手を尊敬し学ぶ姿勢を意識することが大切です。
下方比較
下方比較は、自分より劣っている人や自分より厳しい状況にある人と自分を比較する方法です。「自分よりもっと大変な状況で頑張っている人もいる」と考えると少し気持ちが楽になるように、下方比較には自分の現状に対する安心感を得る効果があります。
【心が辛い時に思い出したい】人との比較に向き合える名言3選

偉人や著名人の名言には、比較に対する心持ちを説いているものも多くあり、力強い名言の数々が心の支えになる場合も珍しくありません。ここでは、他人との比較に苦しんだときに思い出したい、比較と上手に向き合うための名言を3つ紹介します。
自分のことを、この世の誰とも比べてはいけない。それは自分自身を侮辱する行為だ―ビル・ゲイツ
世界的な実業家であるビル・ゲイツの名言は、他人と自分を比べることの無意味さを端的に表現しています。他の誰かと自分を比較するという行為は、自分が歩んできた努力や持ち味を否定してしまうことであり、自分自身への侮辱だという強いメッセージは、ビル・ゲイツの生きざまを感じさせます。
「人は人、自分は自分」というシンプルな心理を思い出させてくれるため、他者と比べて落ち込みそうになったときこそ、心に刻みたい名言だといえるでしょう。
私にとって最高の勝利は、自分と他人の欠点を受け入れられるようになったこと―オードリー・ヘップバーン
世界的大女優であるオードリー・ヘップバーンが語った言葉には、自分と他人をありのまま受け入れることの大切さが込められています。人と比べてしまう背景には、他人の欠点は許せないといった思いが潜んでいることも珍しくありません。この名言はそんなやるせない思いに対して、自分は自分、他人は他人と割り切り、お互い不完全であることを認めることの重要性を思い出させてくれます。
自分の短所も他人の短所も含めて受け入れられたとき、人はもう無闇に比較に心を乱されることがなくなるという、比較の苦しみから解放されるヒントとして胸に留めておきたい言葉だといえるでしょう。
嫉妬は常に他人との比較においてであり、比較のないところには嫉妬はない―フランシス・ベーコン
17世紀の画家であるフランシス・ベーコンの名言は、嫉妬と比較の密接な関係について鋭く指摘しています。人は他者と自分を比較して初めて嫉妬の感情が湧きますが、裏を返せば、比較しなければ嫉妬は生まれないという核心を見事についています。
比較を手放せば、嫉妬という感情もすっと消えていく、そんなシンプルな真実を思い出させてくれる名言だといえるでしょう。
人と比べてしまうことを直したい!そんな気持ちから一歩踏みそう

この記事では、人と比べてしまいがちな人の心理的特徴や、比べすぎることのデメリット、比較癖をやめるための効果的な対策を解説しました。比較癖には心理的な原因があり、その原因を理解し意識的な対策を講じれば、誰でも比較癖を和らげていくことが可能です。まずは本記事で紹介した対策の中から、できそうなことを一つ試して、「人と比べるのはもうやめたい」という前向きな気持ちに応えてみてはいかがでしょうか。
また、「仏陀倶楽部」では心の悩みとうまく付き合えるようになる、仏教の教えをわかりやすく発信しています。多種多様なトピックスを扱っているので、気になる人はぜひご覧ください。


















