書いた人:仏陀倶楽部 会員
介護のために中断していたことを再開しようと動き出したとき、思いがけず立ちはだかったのは、母の「行きたくない」という強い言葉でした。本レポートでは、デイサービスの利用をめぐるとまどいや怒り、そのなかで見えてきた母の気遣い、そして自分の都合だけでは進められない現実が率直につづられています。
再開しようとしたときに現れた壁
去年は介護のためにできなかったことを再開しようと、今年に入ってから動いていました。しかし、何か始めようと思うと、必ず壁が付きまといます。
去年の壁は介護でした。病状が落ち着いたため、ケアマネージャーさんと相談しながらデイケアやデイサービスを何度も見学し、両親に合うだろうと思えるサービスを見つけて利用することにしました。父はデイケアを、母はデイサービスを利用し始めました。
母は初めのうちは嫌がっていましたが、施設の方々の優しさや温かさに少しずつ心を許すようになり、笑顔も増えました。昨年末から慣れるまで、週2回、夕方からの数時間だけ利用していました。この間、私は夜診クリニックへパートに行くようにしていました。そして4月からは、昼間の利用も入れていきました。
母の「嫌」が教えてくれたこと
ところが、昼間の利用を経験したあと、母は何度も「昼、行かなだめなの?」と強い口調で訴えてくるようになりました。夜に比べてにぎやかだったことや、グループに入れないつまらなさが原因だったのかもしれません。
日曜の利用なら人数も少なく、静かなレクリエーションを行うので、日曜を利用してみてはどうかと提案され、行くことにしたのですが、前日の夜になって「嫌! 行かない!!」と拒否しました。
1〜2時間程度なら留守にしていても大丈夫だとは思いますが、1日中となると、持病のてんかん発作が起きたときや、分からなくなったときのことが心配で、デイサービスを利用することになったのでした。
また壁。再開しようとしていたことも、ギリギリの時間で調整して、やっとできると思っていたところでした。本当ならフルタイムで、時には夜も入ってやるところを、何とかやりくりして進めようとしていました。
怒りの奥に見えた母の気遣い
さすがに怒りがこみ上げてきて、母の顔を見られませんでした。上の階に上がり、窓を開けて大きく深呼吸を繰り返しても、なかなか治まりません。
この状況の自分は、愛葉代表の言う「腹を立てている時点で、感情が乱れてしまったあなたの負け」そのものでした。
母は最初からデイサービスに行くことを嫌がっていました。それなのに、文句を言いながらでも夜に行くことを了承してくれていることを、私は、楽しんで喜んで行っているのだと思っていました。でも、それは違っていて、母なりに私に気を使ってくれていたのだと気づかされました。
行けば楽しいのだとは思います。けれど、私の家で大好きな犬たちとのんびり静かに過ごすことのほうが、母にとっては心が安定する時間なのだと感じました。
自分の都合に合わせるのではなく、母と私とが一緒に壁を乗り越えられるように、ゆるい階段を作っていきたいと思います。



















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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