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ささいな出来事が大きなトラブルに。解決できなくても、見方を変えるということ

ささいな出来事が大きなトラブルに。解決できなくても、見方を変えるということ

書いた人:レーン由香

子ども同士のやり取りから始まった思いがけないトラブルが、親同士の関係にも影を落としていく。本レポートでは、解決の糸口が見えない状況のなかで、何を手放し、どう受け止め直すのかが静かに綴られています。相手を動かせないとき、自分の苦しさとどう向き合うのでしょうか。

思いがけず大きくなった出来事

先日、めずらしく兄から電話がありました。子どもがいじめの加害者になってしまい、被害者の親との関係にずっとストレスを感じているとのことでした。

被害者の子どもは、兄の息子と仲が良かったようです。携帯を持ち始めた矢先、メールでのやり取りの「たったひと言」が、大きなトラブルになってしまったようでした。

普段の会話の中での一言なら、もしかしたら少し違っていたのかもしれません。けれど、メールの言葉自体は、人を蔑んだり傷つけたりするようなものではなく、受け取った側の解釈で「馬鹿にされた」「いじめられた」と思ってしまったようでした。

そこから、高校受験のことなど別の話までからみ、兄の息子が妬まれているような状態になっているといいます。下の子がまだ学校に通っていることや、兄自身が学校の役員をしていることもあり、相手方の親とは少なくともあと一年は顔を合わせることになるそうです。

誠意を示しても、動かせないこと

相手を傷つけてしまったのなら謝罪したいと、兄も息子も思っているのですが、向こうはそれを拒否しているそうです。話し合いもできない状態だといいます。こちらの誠意は伝わっているようなのですが、とにかく拒否されるのだと話していました。

兄は、ここまで大きなトラブルになると思っていなかったようで、身動きが取れないストレスから眠れず、白髪が増え、体重まで落ちてしまったそうです。それでも、まだ何かできるのではないかと思っているようでした。

兄は、私が得度に向けて勉強していることを知っています。でも兄にとっては、普段の兄妹の会話のつもりなのでしょう。私は、これまで学んだ仏教的な考えから、兄に感じたことを話しました。

もう十分に誠意を示していると思う。それを拒否されている以上、今はもう何もできないのだから、それを毎日ストレスに思い続けるのは人生がもったいないこと。

私は双方の話を聞いたわけではないけれど、最終的には相手方の親のプライドが、この状況を悪化させているような気もする。仲が良かったのなら、すぐに子ども同士で話をさせていたら収まっていたのかもしれないこと。

親のほうが、タイミング悪く「あれもこれも気に食わない」という状態になっている気がする。ここは、これ以上波風を立てず、相手方の出方を待つのがいいのかもしれない。「諸行無常」で、この状態がずっと続くことはないのだから、兄も少しリラックスしていいと思うということ。

解決だけが正解ではないと思えた

兄は、身近な人には話せないので、遠くにいる私に話ができただけでも気が紛れたと言いました。そして、私の話にも納得できると。解決策は見いだせなかったとしても、兄は昨日よりストレスの感じ方が変わったと思います。

問題を完全に解決するだけが正解ではないような気がします。怒りや不満の感情に任せて事を荒立てるより、今の現状をよく把握し、考え方や見方を変えていく。そうして、今あるストレスが少しでも減るだけでも違うのではないかと思いました。

仏陀倶楽部では、 こうした日々の迷いや立ち止まりを、

一人で抱えずに言葉にする場があります。

監修者 「愛葉 宣明」

僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。

信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」

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