仏教界において、最高位に位置すると言われているのが阿弥陀如来です。
南無阿弥陀仏という言葉は、この阿弥陀如来に帰依するとされ、日本においては誰しもが聞いたことがあるフレーズなのではないでしょうか。
そこで今回は、阿弥陀如来について、本願やご利益、真言などをわかりやすく解説します。
本記事を参考に、阿弥陀如来についての向き合い方について理解を深めていきましょう。
阿弥陀如来とは?

阿弥陀如来とは、諸仏の中で最も高位な存在であり、どのような人も分け隔てなく救うとされている如来です。
梵語(サンスクリット語)のアミターバ(無量光)とアミターユス(無量寿)が由来とされており、智慧の象徴と無限の命によって全ての人を救うとされています。
阿弥陀如来は、西方極楽浄土の教主であり、「南無阿弥陀仏」と唱える全ての人を救う唯一無二の存在です。
悟りを開くことが難しいとされている現世において、阿弥陀如来の力を使って人々を極楽浄土まで導くことが、自身の役割とされています。
阿弥陀如来の本願である「四十八願」
阿弥陀如来がまだ法蔵菩薩だったとき、「四十八願(しじゅうはちがん)」と呼ばれる誓いを立てました。
四十八願は全ての人を救うための誓いであり、まさに阿弥陀如来の本願です。
特に、第十八願である念仏往生願は最も重要であり、南無阿弥陀仏を唱えるだけで誰でも極楽浄土へ迎え入れて成仏させる内容が書かれています。
| 原文:設我得佛 十方衆生 至心信樂 欲生我國 乃至十念 若不生者 不取正覺 唯除五逆誹謗正法 読み:設(も)し我れ仏を得たらんに、十方の衆生、至心に信楽(しんぎょう)し、我が国に生ぜんと欲して、乃至十念せんに、若し生ぜずば、正覚を取らじ、唯五逆と誹謗正法は除く。 出典:仏説無量寿経 |
他力本願という言葉がありますが、現代では人任せにするというやや否定的な使い方をされます。
しかし、阿弥陀如来の四十八願による強い願いに頼り、救済してもらうのが本来の他力本願です。
そのため、他人の力や人任せではなく、阿弥陀如来の慈悲の力こそが「他力」となり、その大元が四十八願となります。
阿弥陀如来は戌(いぬ)年・亥(いのしし)年の守護神
阿弥陀如来は、干支の中で戌(いぬ)と亥(いのしし)の守護本尊としても知られています。
各干支の守護神は、以下のとおりです。
- 子(ねずみ)年:千手観音菩薩
- 丑(うし)年:虚空蔵菩薩
- 寅(とら)年:虚空蔵菩薩
- 卯(うさぎ)年:文殊菩薩
- 辰(たつ)年:普賢菩薩
- 巳(へび)年:普賢菩薩
- 午(うま)年:勢至菩薩
- 未(ひつじ)年:大日如来
- 申(さる)年:大日如来
- 酉(とり)年:不動明王
- 戌(いぬ)年:阿弥陀如来
- 亥(いのしし)年:阿弥陀如来
智慧の光と慈悲の心で邪気を払い、安寧と長寿を授けてくれるとされています。
もちろん、戌年や亥年ではなくとも、阿弥陀如来の信仰はご利益があるので、干支の守護神は参考程度に覚えておくと良いでしょう。
阿弥陀如来像の特徴と有名な寺社

阿弥陀如来像は、国内のいくつかの寺社に建てられています。
では、共通する特徴と阿弥陀如来が建てられている有名な寺社について、いくつかご紹介します。
阿弥陀定印と九品来迎印
仏教には、手や指の形によって意味があるとされており、印相(いんぞう)と呼びます。
阿弥陀如来像には、主に定印と九品来迎印(くほんらいごういん)があり、以下に形の特徴をまとめました。
| 名前 | 手や指の形 |
|---|---|
| 定印 | お腹の前で両手のひらを上に向け、右手を左手の上に重ねて親指同士を軽く合わせて輪を作る |
| 上品上生 | 両手のひらを上に向け、右手を左手の上に重ねて親指と人差し指で輪を作り合わせる |
| 上品中生 | 手のひらを前に向けて親指と人差し指で輪を作る |
| 上品下生 | 右手のひらを前に、左手のひらは指が下になるように向けて、それぞれ親指と人差し指で輪を作る |
| 中品上生 | 上品上生の人差し指を中指にする |
| 中品中生 | 上品中生の人差し指を中指にする |
| 中品下生 | 上品下生の人差し指を中指にする |
| 下品上生 | 上品上生の人差し指を薬指にする |
| 下品中生 | 上品中生の人差し指を薬指にする |
| 下品下生 | 上品下生の人差し指を薬指にする |
※九品来迎印の方法は諸説あり
九品来迎印は、亡くなられた人を迎えに行く際、9つの世界に分かれた極楽浄土のどこに行くかを決める印です。
現世で善い行いを積めば上品に、悪い行いであれば下品に行くとされています。
平等院鳳凰堂|阿弥陀如来坐像
京都にある平等院鳳凰堂には、阿弥陀如来坐像が建てられています。
天喜元年(1053年)に仏師定朝によって収められた、現存する中で唯一本物だと認められている阿弥陀如来像です。
定朝は寄木造(よせぎづくり)技法や独自の技術の確立から「定朝様(じょうちょうよう)」と呼ばれ、平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像にも、その高い技術力が反映されています。
高徳院|銅造阿弥陀如来坐像
神奈川県鎌倉にある高徳院は、建長四年(1252年)に鋳造された銅像阿弥陀如来坐像が有名です。
応安二年(1369年)の大風と明応七年(1498年)の大地震によって大仏殿が損壊していこう、「露坐の大仏」として有名になりました。
高さが約11.3m、総重量が約121トンにもなり、現在においても露座のまま、鎌倉に祀られています。
牛久大仏|阿弥陀如来立像
ギネス世界記録にも認定されているのが、茨城県牛久市にある阿弥陀如来立像です。
高さ120mにものぼり、浄土真宗東本願寺派本山東本願寺が建立したとされています。
牛久大仏と呼ばれる阿弥陀如来立像の高さは、阿弥陀如来が12の光を放つと言われたことから、120mで考案され建てられたようです。
また、牛久大仏は体内参拝も可能で、阿弥陀如来や大仏の構想から完成までの歴史が展示されています。
阿弥陀如来の真言(マントラ)の唱え方

仏教には、諸仏の教えや誓いが込められた言葉として真言(マントラ)が存在します。
唱えることで心を落ち着かせ、加護を賜るもので、当然阿弥陀如来にも真言はあります。
小咒(しょうじゅ)
小咒(しょうじゅ)は、比較的短い形式の真言です。
阿弥陀如来については、以下が小咒(しょうじゅ)とされています。
「オン アミリタ テイセイ カラ ウン」
直訳すると「無量光よ、滅罪せしめ給え、成就」となり、阿弥陀如来への帰依と安寧を願う意味が込められています。
大咒(だいじゅ)
小咒(しょうじゅ)よりも長い真言は大咒(だいじゅ)と呼ばれ、唱えることで身体の中に蓄積した一才の罪が浄化され、極楽浄土へ往き輪廻転生すると言われています。
阿弥陀如来の大咒(だいじゅ)は、阿弥陀根本陀羅尼とも呼ばれ、以下のような真言が記されています。
「ノーボーアラタンノータラヤーヤーノーマクアリヤーミタバヤータタギャタヤーアラカテイサンミャクサンボダヤータニヤターオンアミリテイアミリトードバベイアミリターサンバベイアミリターキャラベイアミリターシッテイアミリターテイゼイアミリタービギャランテイアミリタービギャランターギャミネイアミリターギャギャノーキチキャレイアミリタードンドビソバレイサラバーアラターサダネイサラバーキャラマーキレイシャキシャヨーキャレイソワカー」
阿弥陀如来の真言・念仏によって得られるご利益

阿弥陀如来の真言や念仏には、どのようなご利益があるのでしょうか。
まずわかりやすいのは極楽往生です。
極楽往生は、安らかな死を迎えられ、死後は極楽浄土に往けるというものです。
阿弥陀如来は、四十八願の第十八願に掲げているように、念仏を唱える全ての人を極楽浄土へ生まれさせ、成仏させます。
上記のご利益があることによって、阿弥陀如来の真言・念仏は、不安や恐怖、怒りや執着を和らげ、心の安寧を得られるのもご利益と言えるでしょう。
死への不安・恐怖が和らぐことによって、今をどう生きるかを考えられるため、自身の人生の見直しにもつながります。
阿弥陀如来を本尊にしている宗派
阿弥陀如来を信仰の中心としている宗派はいくつかあります。
では、どのような宗派が阿弥陀如来を本尊にしているのか、それぞれの宗派の特徴とともにご紹介します。
浄土宗、浄土真宗、時宗を本尊にしている。天台宗(本尊は釈迦如来)や真言宗(本尊は大日如来)でも登場する。
浄土宗|法然上人創始した宗派
浄土宗は法然上人が1175年に創始した専修念仏(せんじゅねんぶつ)を基にする宗派です。
専修念仏とは、坐禅や読経などの修行をせず、ただひたすらに「南無阿弥陀仏」を唱えるのが浄土宗の特徴です。
お釈迦さまの死後、仏法が衰えて修行や悟を開く者のいない末法の時代にこそ、誰もが実践できる念仏によって救いの道であると法然上人は説いています。
念仏だけで救われる簡易さから、多くの庶民から支持される一方で、伝統仏教支持者からは反感をかってしまった背景があります。
浄土真宗|親鸞聖人が創始した宗派
法然上人の弟子である親鸞聖人が1224年に創始した浄土真宗も、阿弥陀如来を本尊にした宗派です。
専修念仏を基とする浄土宗と違い、阿弥陀如来の力を信仰する心が大切だと説くのが浄土真宗の特徴です。
また、仏教では厳しい戒律がありますが、浄土真宗にはなく、僧侶でも結婚や髪型などの制限はありません。
このような浄土宗よりも厳しくない宗派になった背景には、朝廷から念仏の禁止を命じられたのが大きく影響を受けています。
念仏の禁止後、それでも親鸞聖人は「念仏を唱えるだけで誰もが仏に救われる」という点に絞った浄土真宗を布教し続けていったのです。
時宗|一遍上人が創始した宗派
時宗は、一遍上人が1274年に創始した浄土門の宗派です。
「捨てる」を鍵として、念仏を唱えることの大切さを説いて各地を周り、室町時代をピークに布教を広げていきました。
特徴的なのは、太鼓のリズムに合わせて念仏を唱える「踊り念仏」です。
盆踊りのルーツとも言われていますが、各地を周りつつも踊りながら念仏するその姿は、当時多くの民から注目を集めたようです。
時宗では、阿弥陀如来への信仰があってもなくても、念仏さえ唱えれば極楽浄土へ往けるとされています。
天台宗|最澄が創始した宗派
天台宗は、806年に最澄が創始した宗派です。
本尊は阿弥陀如来以外にも釈迦如来や薬師如来、観世音菩薩など、寺院によって異なる特徴があります。
全ての人が仏に成れるという法華経に基づいて、密教や禅法、念仏など、仏教の母山と呼ばれるほど総合的に取り入れた宗派なのが特徴です。
天台宗の総本山である滋賀県にある比叡山延暦寺は、世界文化遺産に登録されています。
真言宗|空海が創始した宗派
真言宗は空海が創始した、即身成仏を基本としている宗派です。
身体・言葉・心の3つに関する修行を行い、清浄された心で仏になることを目的としています。
本尊は大日如来としているものの、寺院によっては阿弥陀如来や薬師如来、観音菩薩としている場合もあります。
阿弥陀如来と釈迦如来の違いについて

阿弥陀如来と釈迦如来は、悟りを開いた高位の仏という点では同じですが、同一な存在ではありません。
まず阿弥陀如来は歴史上の人物ではなく、形や色を持たない真理そのものです。
無量光と無限の命によって、念仏を唱える全ての人を極楽浄土へ送る、という考えをもとにした四十八願を本願に、万物の救済をしています。
一方、釈迦如来はゴータマ・シッダールタという地球上に実在した人物です。
人間界で厳しい修行をした後に釈迦如来になり、立ち位置的には阿弥陀如来の弟子にあたります。
スピリチュアルな観点で見る阿弥陀如来

阿弥陀如来をスピリチュアルな観点で見る場合も、「無条件の愛と慈悲」と「光の象徴」として受け取ることができます。
阿弥陀如来から発する癒しのエネルギーは、人々に精神の安らぎや安心感を与え、負の感情を払い去ってくれます。
怒りや不安に縛られているときこそ、阿弥陀如来のエネルギーを感じ、リラックスできる環境を整えることが大切です。
日常に取り入れやすい阿弥陀如来が説く教え
阿弥陀如来は、念仏を唱えれば全ての人を極楽浄土へ連れていく、という誓いを立てています。
そのため、阿弥陀如来の教えによって死への不安や悲しみから解き放たれ、今を生きることに全力を注げるようになるはずです。
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1人で悩まず、我々と一緒に悩みを共有し、楽しい人生とは何かを考えていきましょう。




















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
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