書いた人:釋 慈豊
更生保護の活動に取り組むなかで、松本少年刑務所から一人の受刑者の就職希望について連絡がありました。出所後に働く場所があるかどうかは、その人の未来を大きく左右します。本レポートでは、面接に向かった日の出来事と、そこで感じた責任、そして阿弥陀様の導きとして受け止めた出会いが語られています。
松本少年刑務所での面接
私が更生保護の活動に力を入れていることは、これまで何度かレポートでお伝えしてきました。今回、松本少年刑務所に、当社への入社を希望している受刑者がいると連絡があり、私の家内と一緒に面接へ行ってきました。
松本少年刑務所の職員さんとは、職親プロジェクトの行事や、私が「松本少年刑務所で玉掛けの技能講習を見てみたい」と伝えたことをきっかけに、これまで何度か顔を合わせていました。
今回は家内を連れて、刑務所内まで入りました。出所後に私の会社で働くということは、親御さんから本人を預かり、立派な大人にしてあげなくてはならないということです。その思いがあり、家内にも一緒に来てもらうことにしました。
出所後に行く場所があるということ
刑務所にいる人のなかには、出所後に行く当てがなく、お金もなく、出所したその日に犯罪を犯して刑務所に戻ってしまう人も多くいます。実際に、そういう人を何人も見てきました。
当社に就職の面接を受けられることになるのも、本当に宝くじに当たるくらいの確率なのです。誰でも面接が受けられるわけではありません。私は、もっと職親プロジェクトの加盟企業が増えて、犯罪を犯さないように導いてくれる方が増えていくことを願っています。
「今まで、ちゃんと更生した方はいますか?」とよく聞かれます。今までは、すべて刑務所に戻るか、いなくなってしまう方ばかりでした。でも、その人たちばかりが悪いと私は思っていません。私にも至らないところがあったのだろうと、よく考えさせられます。
その場で伝えた採用
家内は最初、刑務所の中まで行って受刑者と面接をすることを嫌がっていました。しかし、実際に面接をしてみると、「あの子はすごくいい子だね」と、私よりもその受刑者のことを気に入っていました。
通常は後日、郵送で採用・不採用を伝えます。けれど、その子の更生意欲、真面目になりたいという気持ち、早く出て働きたいという気持ちがよく伝わってきたため、その場で採用を伝えました。
本人は飛び跳ねるように喜び、出所後の自分の未来が開けたことを喜んでいました。
それも、阿弥陀様の導きだと信じています。
考えることなく、阿弥陀様の導きのままに出会う人を、さらに更生という方向へ向かわせていくこと。そのことに、今の私の人生の生きがいを感じています。


















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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