誰であっても僧侶になれる得度への道をご用意しています。

「恩返し」の実践が人生を切り開く:仏教の教えに学ぶ「感謝の気持ち」と人材育成

更生保護と人材育成:感謝を知らない若者への説法

私は更生保護活動をしているせいか、従業員は元々悪かった連中が多い会社です。その影響か、ほとんどの社員が片親です。しかも母親一人だけの場合が多く、中には母親が刑務所への出入りを繰り返している者もいます。

家族の苦労を知らない従業員との対話

ある従業員の話です。弊社に勤めたばかりのころ、彼は母親の代わりに育ててくれた祖母がお金に困っていても、家に生活費を入れずに全部自分の遊びに使っていたようです。

ある日私が「少しは家に生活費を渡してるのか?」と聞くと、彼は「冗談じゃないですよ、なんで俺が働いたお金を渡さなきゃならないんですか」と答えました。

私は彼に強く訴えました。

「お前のお母さんは刑務所ばかり入っていて、おじいちゃん、おばあちゃんがあんなに苦労しながら80歳過ぎても働いて育ててくれたんだぞ。もう何年生きられるかわからない年齢なんだ。でも毎日毎日何キロも歩いて仕事に行き、お前たちをここまで育ててくれたんだ。そんなおじいちゃん、おばあちゃんに一瞬でも『生きててよかった』と思えるときを作ってやれ。それがお前の恩返しじゃないのか?」

仏教の教えに基づいた「恩返し」の実践

私の言葉を聞いた後、しばらくしてその従業員が報告に来ました。「天野さんに言われたことをやってみました」と。何をしたのかと問うと、「ボーナス全部あげました」というんです。

私は「どうだった?」と尋ねました。彼は「すごく喜んでくれました」と満面の笑みで答えました。さらに、おばあちゃんから私のところへもお礼の電話が来ました。この「恩返し」の行動こそが、彼にとって大きなターニングポイントとなったのです。

人としての成長と人材育成への喜び

今ではその従業員も私のところから独立し、経営者として人を遣う立場になっています。

人としてのやさしさを教えることで、元々悪かった連中が真面目になり、社会人として育っていく。この人材育成の結果を見ることが、今は私の楽しみになっています。

これも仏の教えを学び、自分自身の気持ちにゆとりができてきたからこそできることと自負しています。謝の気持ちを持って他者に接することの大切さを、今後も伝えていきたいと願っています。