評価軸の喪失:人生の道しるべを見失った時
書籍『人生を変えるのに修行はいらない』の中で、私が最も惹かれた言葉は「評価される事を目的としない」という言葉でした。
私の人生はこれまで、家族を喜ばせる事を最大の人生の目的として生きてきました。その考え方を基に行動することで、自分のとるべき行動や道筋を判断できていたのです。しかし、子供が独立し、妻と二人での生活を楽しんでいましたが、先日、妻を病気で亡くしたことから、私はその先の人生に大きな不安を感じるようになりました。妻を喜ばせる事を最優先に考え行動してきた私の行動原理が、突然、異なる行動原理で生きていかなければならなくなってしまったのです。しばらくは、心の整理もできず、どうしたらよいのかもわからない状態となっていました。
「評価される事を目的としない」が導いた心の整理
「評価される事を目的としない」という言葉で、やっと心の整理がつきました。私は、評価される事を最大の目的として行動し、それを人生の道しるべとしていたため、それを失った状態は、自分の行動判断やこの先の生き方すら、どうしたらよいのかわからなくなってしまっていたのです。
この言葉は、私にとっては、自分の主体的判断と行動を促してくれる言葉でしたので、私の中に大きく響きました。同時に、私の人生の軸が、家族を喜ばせることから、できるだけ多くの人を喜ばせることに変わっていきました。これから目指す僧侶としての活動は、まさにそれにあたる内容で、そのためには、正しく学ぶことが必要であると認識しております。この核心をつく表現や言葉の大切さも、本書から教えていただきました。
八正道の覚悟と得度への決意
「評価される事を目的としない」行動は、主体的な考えで、正しい方向を向いていくことが必要となりますので、とても難しいことだと思いますが、周囲と協調しながら八正道を実践していく覚悟をもちました。
他にも多くの内容が、わかりやすく説明いただけて、「他力本願」や「悪人正機」は、これまで何度も理解しようとして難しかった内容が、適切な表現のおかげで、初めて心に留まる理解ができました。
もう一つ、「人が亡くなったときに必ずしもお坊さんがお経をあげる必要がないと思っている」という言葉にも助けられました。これは、私も浄土真宗を独学で理解していく中で、葬儀における読経は必要なのか?と疑問に思い、私の妻の葬儀もお坊さんは呼ばずに、雰囲気を出すため、お焼香の時だけ、お坊さんの形をした人形に正信偈を唱えてもらう方法で実施しました。
参列者からのお言葉を中心とした心のこもった見送りをすることができ、親戚他多数の方々から、「良い葬儀で感動した」とのお言葉をいただきました。私は葬儀のプロではありませんので、葬儀終了後、本当にこれで良かったのか、確信が持てておりませんでしたが、この本に書かれていた言葉のおかげで、不安は全て解消する事ができました。
仏道に充てる時間:新しい生き方への一歩
今この時に得度へ一歩を踏み出したきっかけは、親鸞の浄土真宗を中心に、仏教で説かれた生き方、考え方を正しく学び、八正道で自分の芯を固め、家族や知人にも伝えていくことで、周りの人の四苦八苦を少しでも和らげられる助けとなり、それにより、自分も喜びを感じたいと考えているからです。妻を亡くし、定年を迎え再雇用となり、生活パターンが大きく変わっていく中で、使える時間を仏道に充てていくことで、充実した生活を維持できると考えました。
南無阿弥陀仏




















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
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