「自分なんてどうしようもない人間だ」
「他の人よりもできない自分に価値はない」
自己肯定感が低い人は、何をやってもネガティブな感情がつきまとい、自分を否定した生き方になりやすいです。
仏教では、私たちが苦しむ原因を「心のとらわれ」にあると説いており、自己肯定感の低さも、決して性格が悪いから、努力が足りないからではないとしています。
そこで今回は、自己肯定感を高める方法について、仏教的視点から解説します。
自己肯定感とは何か、どのように向き合えば良いのか悩んでいる方は、参考にしてください。
そもそも自己肯定感とは何?

自己肯定感とは、一言でいってしまうと自分の存在を認められる感覚です。
「取引先と契約できたから自分には価値がある」「誰かに褒められたときの安心感」など、他人の評価に干渉されず、自分が自身を評価するものとされています。
仏教では、人は生きていることそのものに意味があり、心の変化や思い通りにならない人生をありのままに受け止めることが本当の肯定感だとしています。
落ち込んだり、迷ったり、比較をする自分さえも自身そのものであり、今の心の状態にすぎないという考え方です。
「社会的自己肯定感」と「絶対的自己肯定感」
自己肯定感は「社会的自己肯定感」と「絶対的自己肯定感」の2種類に分けられます。
社会的自己肯定感は、以下のようなシーンで高まる自己肯定感です。
- 他人から認められた・褒められたとき
- 成果を出したとき
- 競争で勝利したとき
仕事のモチベーションや人間関係を円滑にするために必要な感覚が社会的自己肯定感です。
しかし、他者からの評価・比較が根底にあり、自身でコントロールができません。
また、状況により簡単に揺らいでしまうのが社会的自己肯定感のデメリットです。
一方、絶対的自己肯定感は、どのような状況・状態であったとしても、自分であることを認め、否定しないという感覚です。
仏教においては、この絶対的自己肯定感を大切にし、完璧でないこと、迷うこと、弱さがあることは全て人間本来の自然な姿だと説きます。
不完全であるからこそ人間であり自分自身だと認めることが、自己肯定感を高める第一歩だと言えるでしょう。
自己肯定感が低い人の特徴と原因

自己肯定感が低い人は、以下のような特徴および原因が考えられます。
- 他人と比較をする癖がある
- 他人の評価を気にする癖がある
- 承認欲求が強い
- 過去のトラウマを引きずっている
- 完璧主義
では、それぞれの特徴および原因について詳しく見ていきましょう。
他人と比較をする癖がある
自分より優れた他人と比較をしてしまう癖があると、自己肯定感が低くなりやすいです。
人はそれぞれ違った環境と経験を経ているので、同じ物差しで比べること自体が仏教的観点では間違っています。
しかし、競争や比較を常としている現代においては、嫌でも他人と自分を比べてしまうのです。
同じ物差しで比べてしまうと、どうしても足りない自分に目を向けてしまいがちです。
他人と比較する癖は、ネガティブな感情を抱きやすくなる原因だと言えるでしょう。
他人の評価を気にする癖がある
嫌われていないだろうか、変に思われていないだろうか、といった他人の評価を気にする癖も、自己肯定感を低くしてしまう原因です。
評価によって自身の地位や行動が変わるケースも少なくありません。
しかし、必要以上に評価を気にするのは、心身を疲弊させてしまう要因となります。
そもそも評価は常に移ろうものであり、昨日の賞賛が今日は無関心に変わることも珍しくないでしょう。
自身で制御できない価値に身を委ねると、心は休まる場所を失ってしまいます。
承認欲求が強い
承認欲求が強い方の中には、自己肯定感の低さが原因である場合があります。
承認欲求は人として自然ではあるものの、求められないと自分には価値がない、と感じてしまうのは問題です。
さらに、承認されるために間違った手法で注目を集め、価値を感じてしまうと、より自身を苦しめることにつながります。
仏教では欲そのものを否定はしません。
欲は誰しもがあるものという前提で、どのように対処・思考していくのかを説いています。
過去のトラウマを引きずっている
過去に言われた一言や裏切られた・否定された経験などのトラウマによって、自己を肯定できない方もよくある特徴です。
過去と現在を重ねてしまうことで、同じ道を辿ってしまうネガティブな思考が癖づいているのが原因としてあげられます。
ネガティブな感情に追随する記憶は、なかなか拭えないからこそ、どう抱えて生きていくかが重要です。
完璧主義
失敗してはいけない、確実に遂行する、といった完璧主義の方も自己肯定感が低くなりやすいです。
完璧主義になると、必要以上に高い基準で自分を見つめなくてはいけません。
少しの妥協も許せないからこそ、できなかった場合には、できない自分を責める癖が強くなり、自ら枷を作って苦しめてしまうのです。
人間は不完全な生き物だからこそ、肩の力を抜いて考える必要があります。
日本人の自己肯定感の低さに隠れた仏教的思考

欧米諸国と比較すると、日本人は自己肯定感が低い傾向があると考えています。
理由の1つが仏教的思考です。
欧米では、人間は神が創造した唯一無二の存在である、というキリスト教の思想が根付いています。
そのため、物事ができる・できないに関わらず、それが人間であり個性という考え方なのです。
一方、日本では人生は修行という仏教の教えが広く浸透しており、自分を謙虚に見つめ、改善を続けることが尊ばれている傾向です。
そのため、どこまで成長しても自身は未熟・不完全であるという意識を理解しなくてはならず、結果として自己肯定感の低さにつながります。
本来では、仏教でも未熟・不完全だからこそ人間であり、認めることが重要であるとされていますが、社会的背景も関与し、自己肯定感の低さに影響しているのでしょう。
自己肯定感が低いと起こるデメリット

自己肯定感の低さは、日常生活や人間関係にも影響します。
では、自己肯定感が低いと起こってしまうデメリットはどういったものがあげられるのか、それぞれ見ていきましょう。
仕事を断れず残業やオーバーワークをしてしまう
自己肯定感が低いと、仕事を断れず残業やオーバーワークをしてしまう可能性が高いです。
人に頼まれごとをされると、断ったら嫌われるのではないか、自分がやらないと価値がなくなるのではないかと感じてしまいます。
その結果、自分が限界だったとしても無理をして仕事を引き受けてしまい、気づけば心身ともに疲れ切ってしまいます。
何事にも納得できず不満を抱える
自己肯定感の低さから完璧主義な思想や他者評価への価値が強くなると、何事にも納得できず不満を抱えやすくなるデメリットがあります。
- 自分はまだできると思い込んでしまう
- 評価が低いと感じてしまう
- 他の人より劣っていると感じる
自身ではコントロールできない部分に価値を見出すと、納得できない事柄が増えていき、次第に不満を抱えやすくなってしまうでしょう。
不満はストレスとなり、身体へ悪影響を及ぼす要因となるので、考え方から変えていかなくてはいけません。
愛情や信頼を感じられず人間関係が構築できない
自己肯定感が低いと、他人の優しさや好意を素直に受け取れなくなる場合があります。
- この言葉には裏があるんじゃないかな
- 自分を知ったら離れていくのではないだろうか
- 自分なんかが愛情を向けられていいのだろうか
上記のような不安を抱えてしまい、心を開けなくなった結果、人間関係の構築が難しくなります。
自分の欠点ばかりに目がいくようになる
欠点ばかり目がいくようになるのも、自己肯定感の低さから起こりうるデメリットです。
自分に自信がないのが原因で、できていることよりもできていないことばかりに意識が向いてしまいます。
欠点に意識が集中すると、自分という存在を否定しているような感覚に陥るはずです。
人間は不完全だからこそ、欠点も認めるべきではありますが、自己肯定感が低い感覚から抜け出せないと、段々とネガティブな感情から抜け出せなくなってしまいます。
自己主張ができず他人の意見に流されやすくなる
自分の意思や感覚が主張できず、他人の意見に合わせて長されやすくなるのも自己肯定感が低いデメリットです。
本当は違う意見を持ってはいるものの、他人の評価や価値に重きを置いてしまい、結果的に相手に合わせたほうが楽だ、という考えに至ってしまいます。
自分の考えは間違っているかもしれない、と感じて自己否定を始めてしまうと、より自己肯定感の低さにつながるので注意したいところです。
自己肯定感を高める5つの方法【仏教的視点】

仏教的観点では、自己肯定感を高めるとは、心の扱い方を少しずつ整えていくことを指します。
無理に前向きになろうとせず、自分を好きになろうと努力する必要もありません。
ここでは、仏教的視点もふまえた上で自己肯定感を高める方法を5つご紹介します。
心の動きを観察する癖をつける
自身の心の動きを観察する癖を身につけると、心の安定につながります。
他人の評価を気にする、比較をしてしまうとネガティブな感情がつきまとうはずです。
しかし、この感情を否定せず、どうしてこの感情を抱いたのかを遠くから見つめる感覚で観察しましょう。
仏教では、マイナスな感情を否定はせず、受け止めて認めることを大切にしています。
自分なんてダメだ、価値がないんだと思う気持ちも、一歩引いた自分なら冷静に受け止められるはずです。
心の動きを落ち着いて判断できるようになれば、不要な自己否定をしなくて済みます。
【正念】今の自分を受け入れる
今、このときの自分を受け入れることも自己肯定感を高めるポイントです。
自分はもっとできる、このレベルをやり遂げられない自分は自分じゃない、という考えは、全て理想の自分を妄想・比較しているにすぎません。
仏教では、「正念(しょうねん)」という言葉があり、良い・悪いと判断せずに今の自分を理解して受け入れるのが重要だと説いています。
物事ができても・できなくとも、自分が自分であることは変わらないと考えられると、自身を否定しない生き方ができるはずです。
感情のラベリングをする
自己否定をする物事が起こった際は、そのときの感情を言語化する感情ラベリングがおすすめです。
感情ラベリングは、悲しい・不安・焦りを言葉にすることで、感情と自分を切り離して見られるようになります。
感情はあなたそのものではなく、今そこにある心の動きです。
感情に飲み込まれるのではなく、あえて言語化して切り離すことが、自己肯定感を保つ秘訣になります。
小さな成功体験を積み重ねる
自己肯定感を高めるには、小さな成功体験を積み重ねることも重要です。
成功体験は、難しい目標を設定する必要はなく、以下のような”できたこと”を褒めてあげましょう。
- 朝起きられた
- 自分の体調を優先して休めた
- 人と話すことができた
”できたこと”に目を向けられるようになれば、自然と”できなかったこと”を考える癖が収まります。
上記の思考の転換で、自己肯定感は高められるので、ぜひ小さな成功体験を積み重ねていきましょう。
安心できる空間・環境に身を置く
心と環境は深くつながっており、安心できる空間に身を置くだけでも自己の否定は抑えられます。
- 音のない静かな場所で瞑想する
- 気を使わずにいられる人と過ごす
- 自然に囲まれた環境に身を置く
上記のような空間・環境では、自分自身を見つめ直す時間が作れるため、心が整えやすいです。
自己肯定感が低いときほど、自分が安心できる空間・環境に身を置いて、心と身体を休ませてあげましょう。
自己肯定感で悩んでいるなら仏陀倶楽部へご相談ください

本記事では、自己肯定感を高める方法について、仏教的視点をふまえてご紹介しました。
自己肯定感が低いことは、決してあなたの弱さや欠陥ではありません。
- 他人と比べてしまう
- 評価を気にしてしまう
- 完璧を求めすぎて苦しくなる
上記はすべて、複雑な人間関係の中で生きてきた証拠でもあります。
仏教では、必死に頑張ることや無理に自分を変えることは説きません。
今の自分の心に気付き、否定せず、そっと整えていく道があると示してくれます。
仏陀倶楽部は、こうした自己肯定感の悩みに一緒に寄り添い、少しでも心が楽になる方向を探せる場所です。
仏陀倶楽部という安心できる空間・環境に身を置きながら、自己肯定感を見つめ直していきましょう。





















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
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