誰であっても僧侶になれる得度への道をご用意しています。

「ほんとうに大切なもの」には執着すればいい

「ほんとうに大切なもの」には執着すればいい

はじめに:執着と幸せの関係を再考する

皆さん、こんにちは。今日は、仏教の基本的な教えの一つである「執着」について、新しい視点から考えてみたいと思います。「執着を捨てよ」という言葉をよく聞きますが、本当にそれが幸せへの唯一の道なのでしょうか?

仏教における執着の概念

伝統的な仏教の教え

仏教の基本的な教えでは、「あらゆるものや人に対する執着をなくすと、”苦”を手放せる」とされています。多くの宗派では、執着を減らしたり手放したりすることが、幸せになる近道だと考えられています。

この考え方の根底には、「四苦八苦」という仏教の基本概念があります。生老病死の四苦に、愛別離苦(愛するものと別れる苦しみ)、怨憎会苦(憎いものに会う苦しみ)、求不得苦(求めても得られない苦しみ)、五蘊盛苦(心身の苦しみ)を加えた八苦が、人生の苦しみの根源だとされています。

執着の科学的理解

現代心理学でも、執着が精神的健康に悪影響を与える可能性があることが指摘されています。例えば、アメリカ心理学会の研究によると、物質的な執着が強い人ほど、生活満足度が低く、不安やうつ症状が高いという結果が出ています。

執着に対する新しい視点

執着のポジティブな側面

しかし、私は欲や執着心をむりに抑えようとする必要はないと考えています。なぜなら、欲や執着心は、物事を成し遂げる強いエネルギーになり得るからです。

実際、心理学者のロバート・エモンズの研究によると、適度な野心や目標への執着は、人生の満足度や幸福感を高める可能性があるとされています。

執着の普遍性

また、この世で生きていて、欲や執着心を完全に手放すことは難しいでしょう。私自身、「余計な欲は捨てたい」という気持ちが強くあります。言葉を変えれば、これは「欲を捨てる」ことに執着していると言えるかもしれません。

「悟りを開こう」として修行をしている僧侶だって、「悟りを開く」ことに執着しているとも言えるでしょう。

執着を通じた自己理解

試行錯誤の重要性

お金が欲しいなら、とことん稼ごうと働いてみるのもいいでしょう。好きな人に振り向いてもらおうと、あらゆる手を尽くしてみるのもいいでしょう。

そうすることで、もし望んだ結果にならなかったとしても、自分がほんとうに何を求め、何を大切にしたいのかが見えてくるからです。

自己発見のプロセス

今をよりよく生きるためには、こうしてわかった自分にとって「ほんとうに大切なもの」から満たしてあげるのが大切です。

例えば、私にとっては、経営者としてたくさんのビジネスを運営しお金を稼ぐことよりも、ビジネスはそこそこにしてでも、心を許せる人と会い、食事をしながら楽しい時間を過ごすほうが何倍も大切なことだと気づきました。昼も夜もなく働けば、もっと稼げるにもかかわらずです。

優先順位の重要性

選択の必要性

ただし、あれもこれも追い求めるのではなく、しっかりと自分なりの優先順位を見極めなければなりません。何を大切にすれば、自分が心から幸せになるのか。それがわかるまでには、あれこれ試してみる時間が必要でしょう。

個人的な経験

私自身、ビジネスで成功しようと必死だったときに、さまざまなビジネス書に影響されて、毎日のようにいい口グセを唱えてみたり、やたらと「ありがとう」を連発したりしたこともありました(笑)。

でも、当然ですが、そのやり方ではビジネスが思い通りにいくことはありませんでした。また、そのやり方で幸せな気持ちになったこともなかったため、世間で言われている「幸せになる法則」のようなものは、誰にでも当てはまるわけではないと実感しました。

「ほんとうに大切なもの」への執着

執着の再評価

こうして、本気でいろいろなことにトライしているうちに、自分なりの幸せが見えてきたのです。自分がほんとうに大切だと思うモノには、まず執着してみるのも良いのです。

科学的裏付け

実際、ポジティブ心理学の研究では、人生の意味や目的を持つことが幸福感と強く関連していることが分かっています。ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン博士の研究によると、自分にとって意味のあることに全力を注ぐ人ほど、人生の満足度が高いという結果が出ています。

まとめ:バランスの取れた執着

中道の実践

仏教の「中道」の教えにもあるように、極端を避け、バランスを取ることが重要です。執着を完全に捨てるのではなく、自分にとって本当に大切なものを見極め、それに対して適度に執着することが、現代を生きる私たちの幸せにつながるのかもしれません。

個人的な幸せの追求

最後に、あなた自身の「ほんとうに大切なもの」は何でしょうか?それを見つけ、大切にすることから、あなたの幸せは始まるのかもしれません。執着を恐れず、でも適度なバランスを保ちながら、自分らしい幸せを追求してみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. 佛教大学総合研究所 (2018). 『現代社会と仏教』
  2. Kasser, T., & Ryan, R. M. (1993). A dark side of the American dream: Correlates of financial success as a central life aspiration. Journal of Personality and Social Psychology, 65(2), 410-422.
  3. Emmons, R. A. (2003). Personal goals, life meaning, and virtue: Wellsprings of a positive life. Flourishing: Positive psychology and the life well-lived, 105-128.
  4. Seligman, M. E. (2012). Flourish: A visionary new understanding of happiness and well-being. Simon and Schuster.

この記事を通じて、執着に対する新しい視点を得ていただけたら幸いです。自分にとって本当に大切なものを見つけ、それを大切にしながら生きていく。そんな生き方が、現代を生きる私たちの幸せにつながるのではないでしょうか。

仏陀倶楽部では、 こうした日々の迷いや立ち止まりを、

一人で抱えずに言葉にする場があります。

監修者 「愛葉 宣明」

僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。

信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」

愛葉宣明のコラムはこちら