人生の中で、大切なものを失ってから改めて、その有難みに気付くことはたくさんあります。目の前にある時にも分かっていたはずなのに、感謝の気持ちを持てなかったり、そのことを伝えられなかったりして、後悔してしまうことになります。
「親孝行したい時に親はなし」という言葉がありますが、私は今になって本当にその思いが強いです。私は若い頃は仕事漬けの毎日で、ほとんど家にいない生活をしていました。30代前半で父親が、40代前半で母親が亡くなったのですが、どこかに連れて行ってあげたり、一緒にゆっくり食事をした記憶もありません。もちろん、感謝の思いを伝えたことも… 母親が棺に入った時に初めて「今までありがとう」と伝えたのですが、その時に「何で元気なうちに伝えなかったのだろう…」と涙しました。その後、私は結婚して子どもが4人生まれたのですが、孫の顔を見せてあげられなかったことも、今となっては断腸の思いです。
それ以降、家族や友人等身近な人はもちろん、出会った人とも「もしかしたら会えるのは最後になるかもしれない」「伝えたいと思ったことは、後回しにしないで今伝えよう」と考えるようになりました。

















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
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