人間関係や仕事などのストレスに晒されやすい現代社会において、精神的・肉体的に疲弊してしまう方も少なくありません。
こうした日々の苦しみから解放される手法の1つが「悟り」です。
そこで今回は、日常生活に活かせる「悟り」とはどのような考え方なのかを解説します。
本記事を読めば「悟り」を通したストレスへの向き合い方がわかり、心が軽くなるはずですので、ぜひ参考にしてください。
仏教における「悟り」とは?

仏教における「悟り」とは、世界や物事の真理に気づく、生きる上での苦しみ・迷いや執着から解放された状態です。
仏教の始祖であるゴータマ・シッダールタ(お釈迦様)は、厳しい苦行の上、35歳のときに唯一「悟り」を開いた人とされています。
ヒトが悟りを開くとどうなる?無我の境地とは
「悟り」を唯一開いたのは、人類の歴史から見るとゴータマ・シッダールタ1人です。
では、このゴータマ・シッダールタが辿り着いた無我の境地とは、どういった状態なのでしょうか。
一言でいうなら、無我の境地は欲望や執着から解放され、無心な心の状態です。
ただし、仏教で言うところの「悟り」を開く、無我の境地に達するには厳しい修行をしなくてはならず、現代社会では到達することは非常に難しいでしょう。
そのため、現代で言う「悟り」は、本来とは少し異なりつつも、核心は変わらない意味で浸透しています。
悟りには52段階ある
そもそも「悟り」は52段階あります。
- 1〜10段目:「十信(じっしん)」
- 11〜20段目:「十住(じゅうじゅう)」
- 21〜30段目:「十行(じゅうぎょう)」
- 31〜40段目:「十回向(じゅうえこう)」
- 41〜50段目:「十地(じゅうじ)」
- 51段目:「等覚(とうがく)」
- 52段目:「仏覚(ぶっかく)」
段数が増えるにつれて高位となり、1段違うだけで人間と虫ケラほど違うと言われるほど差があるのです。
また、「悟り」の中でも40段目以下は「退転位(たいてんい)」、41段目以上は「不退転位(ふたいてんい)」と呼ばれます。
退転とは、「悟り」が崩れてしまうという意味があり、退転位と呼ばれる40段目までは気を抜いてしまうと元の凡夫へ戻ってしまうとされています。
現代に求められている「悟り」の意味とは

現代社会においては、どちらかというと諦めや気付きの際に「悟った」と使うはずです。
しかし、本来の「悟り」、現代で求められている「悟り」は、欲望や執着からの解放であり、諦めや気付きとは異なります。
人間関係やSNS、睡眠不足など、現代社会は情報が目まぐるしく錯綜しており、心と身体が翻弄されてしまっている方も少なくありません。
だからこそ、ご自身の心のクセを知り、迷いから解脱する考え方が求められているのです。
悟りを開いた人の特徴

現代で言う「悟り」を開いた人は、以下のような特徴があります。
- 情緒が安定している
- 自分と他人を比較しない
- 他人への期待や願望を抱かない
- ストレス耐性が高い
- 楽しそう・幸せそうにしている
では、具体的にどのような特徴なのかをそれぞれ解説します。
情緒が安定している
「悟り」を開くと、物事に感情が揺さぶられなくなり、情緒が安定しています。
例えば、常に相手の顔色を伺う方は、相手が自身に対してマイナスな感情を抱いていないか、自分の意思を無視して相手に従うなど、不必要なストレスを抱え込みがちです。
「悟り」を開くと自身を俯瞰的に見ることができ、不要な考えは切り捨て、冷静な判断ができるようになります。
コンディションに左右されず、常に一定のパフォーマンスを発揮しているな、と感じている方は「悟り」の考え方を取り入れているのかもしれません。
自分と他人を比較しない
自分と他人を比較しないのも「悟り」を開いた人の特徴です。
世の中はさまざまな競争が強いられており、無意識に他人と比較をする考えが根付いています。
そのため、何かあると他人と比較をして自分が劣っているように感じる方も少なくないでしょう。
しかし、「悟り」の観点から見ると、他者との比較自体が間違ったことであり、自分は自分でしかありません。
他人と比較する必要がないことを理解している分、心は安定します。
他人への期待や願望を抱かない
他人への期待や願望を抱かない点も「悟り」を開いた人に見受けられる特徴です。
自分はこうだから相手もこうであるべき、という期待や願望は、叶わなかった際に失望や落胆などの気持ちがついてきてしまいます。
しかし、「悟り」では自分と他人は別物であると考え、他人に執着をしない生き方を理想とします。
だからこそ、他者がどう行動しようとも心が乱れることがなく、常に冷静な状態で行動を保てるのです。
ストレス耐性が高い
「悟り」の考え方を身につけた方は、ストレス耐性が高いです。
欲望や執着から脱却すると、他者の視線が気にならなくなり、他者への期待・願望も抱かなくなります。
そうすると、外部からの刺激をストレスと感じにくく、自然と耐性がつきます。
ストレスの多い現代社会でも、リラックスして生きている方は、悟りの考えを身につけているのかもしれません。
楽しそう・幸せそうにしている
ストレスなく、自分を大切にできる「悟り」の考えは、人生を楽しく・幸せに感じる場面が多くなります。
欲望・執着・迷いなどから切り離されると、周囲の出来事に対して感謝し、幸せを感じるシーンが増えるはずです。
楽しそう・幸せそうにしている方の中には、こうした「悟り」の考えを取り入れている方も少なくないでしょう。
【悟りを活かす】心が軽くなる5つの考え方

ストレスの多い現代社会においては、「悟り」を活かした考え方を身につけるべきです。
ここでは、心が軽くなる5つの考え方についてご紹介します。
自分を客観的に捉える「メタ認知」
「悟り」の中で最も活かすべき考え方が「メタ認知」です。
メタ認知とは、自分の思考や感情を第三者目線で観察し、言語化およびコントロールする考え方を指します。
例えば、会社のプレゼン前で「失敗しないだろうか」という不安を抱えた方がいたとしましょう。
このとき、悟りおよびメタ認知的な思考だと「今自分は不安を感じているな」と客観的な判断から始まります。
また、起こっていない未来に対して不安になるのが不要な感情だとも理解するはずです。
その上で、自分が必要以上に不安を抱かせないためには、プレゼンに集中するべきだと気付き、残された時間でできることに注力できます。
メタ認知的思考を身につけると、ネガティブな感情を抱いた際に、感情が揺さぶられてしまうのを防ぎ、心身が安定しやすくなります。
感情を否定せず受け入れる
誰しもネガティブな感情を抱くもので、それ自体を否定するのは「悟り」ではありません。
怒り・悲しみ・不安を抱いたときに、受け入れてあげることこそ「悟り」的な考え方です。
事実、「悟り」を開いたゴータマ・シッダールタも、修行を経るにつれてネガティブな感情が消えないと気づいています。
もし、ネガティブな感情を抱いた際に「この感情を持ってはいけない」と考えているなら、まずは自分が持った感情を受け止め、認めてあげてください。
自身の感情を否定せず受け入れる行為自体、心の軽さにつながります。
その上で、どうしてもネガティブな感情を抑えきれないなら、「○○な感情の箱」を心の中に作り、一時的に閉まっておきましょう。
不要な他人との比較を手放す
”不要な”他人との比較を手放すのも、心が軽くなる考え方の1つです。
人によっては、営業ノルマや商品の品質など、避けられない比較はあるかもしれません。
しかし、SNSのいいね数やフォロワー数、年収や役職マウントなど、考えると不要な比較は現代に多く存在します。
こうした不要な他人との比較は、感情を揺さぶる原因になるので、避けるのが適切です。
「こんなこともできないのか」「才能がないから失敗する」といった考えは全て不要な他人との比較から生まれます。
まずは比較をやめて、自分自身に視点を持ちましょう。
コントロールできる・できない事象を分ける
自分の意思でコントロールできる・できない事象を分けるのも、心が軽くなるポイントです。
自分の行動や選択、考え方といった領域はコントロールすべきで、「悟り」の修行の中でも、時間をかけて突き詰める部分です。
一方、他人からの評価や天気、経済といった事象は自分で変えられるものではありません。
コントロールできない事象は、自身の感情や思考と切り離して置いておくほうが、不必要に感情を揺さぶられずに済むはずです。
何かの事象に直面した際、自分でコントロールできるのかできないのかを判断し、適切な対応をしていきましょう。
今の自分に焦点を当てる
悩みや不安に直面しても「今の自分に焦点を当てる」ことで、感情の上下は少なくなるはずです。
悩み・不安は、未来への漠然としたモノ・予測が大半で、実際に今起きているというケースはほとんどありません。
今の自分に焦点を当てると、こうした漠然とした悩み・不安を抱えずに済みます。
悩みや不安を考え始めたら、シャワーを浴びている自分、料理をしている自分、仕事をしている自分、など今の自分に焦点を当てましょう。
悟りを習慣化するコツ

いきなり「悟り」を開くのは難しく、習慣化する必要があります。
ここでは、「悟り」を習慣化するための3つのコツについてまとめました。
- 瞑想を取り入れる
- 感情ラベリングを行う
- 3行ジャーナリングを行う
- 最悪を想定して対処を考える
では、それぞれのコツについて見ていきましょう。
瞑想を取り入れる
今の自分に集中するトレーニングとして、瞑想を取り入れるのはおすすめです。
瞑想は、呼吸にだけ集中した”無”の状態を維持する手法で、未来への不安や感情の揺らぎを抑える効果があります。
瞑想のやり方は以下のとおりです。
- なるべく音の無い静かな場所で楽な姿勢で座る
- 目を閉じて鼻から息を吸い口からゆっくりと吐くを繰り返す
- 呼吸にだけ意識を集中する
上記の方法で、まずは10分ほど瞑想を続けましょう。
慣れてきたら30分〜1時間と行うと、より今に集中する感覚を養えます。
瞑想を行うだけで、頭がスッキリした感覚があり、悩みや不安が消えているのがわかるはずです。
その場ですぐにできる点では、現代社会に見合った「悟り」の修行法と言えるでしょう。
感情ラベリングを行う
怒り・悲しみ・嬉しいなど、そのときの感情に具体的な言葉で名前を付けてあげるのが感情ラベリングです。
ネガティブな感情は、吐き出すとストレスが軽減されるため、言語化しておく癖を身につけてください。
なおかつ、感情ラベリングによって自身を客観的な視点で観察できるので、より冷静に物事を判断できます。
例えば、自分の陰口を聞いてしまって悲しい感情を抱いた場合、この悲しい感情にも度合いがあるはずです。
- 信頼していた人に言われて裏切られたときの悲しさと怒りが相まった気持ち
- 自分の部屋に土足で踏み込まれたような不快さ
- 数日経てば忘れてしまうような一時的な悲しさ
上記のように具体的な言葉にすると、同じ感情でも違いがあるとわかります。
感情ラベリングを続けていくと、これまでの曖昧な感情が形となり、気持ちの置き場所が見つかりやすくなります。
感情ラベリングでネガティブな感情も含めて受け入れてあげられると、情緒の安定化やストレスが軽減され、生きやすいと感じる場面が多くなるはずです。
3行ジャーナリングを行う
今考えている感情や思考を吐き出すために3行ジャーナリングを行うのもおすすめです。
3行ジャーナリングでは、キレイに書く意識はせず、自分の言葉で書きたいように記録していきましょう。
紙に書き出すと感情の蓄積が解放され、心の解毒が可能です。
書くことがないと感じても、何もないことを3行で記述すれば良いので、朝あるいは寝る前のジャーナルを続けてみましょう。
最悪を想定して対処を考える
心を軽くする手法として、最悪を想定して対処を考える、という方法があります。
例えば、「プレゼンが失敗しないだろうか」という不安は、成功する自分と現在の自分を比較している状態です。
「プレゼンが大失敗して商談が取り消しになり、自身が解雇される」が最悪だった場合、おそらくそこまでの事態になるケースはほとんどありません。
上記をふまえると、自身の不安はごくわずかなものであると感じられ、心が楽になるはずです。
また、最悪を回避するための対処法を考えられると、より精神的に安定できるでしょう。
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「悟り」は、日々の不安や悩みを解決する考え方であり、現代社会にも通ずる内容が詰まったものであると理解してもらえたはずです。
今回は「悟り」を習慣化するコツについて触れましたが、ご自身だけで取り組むとなるとハードルが高く感じるかもしれません。
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少しでも肩の力を抜いた人生を送れるよう、「悟り」の考え方をご一緒に身につけていきましょう。





















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
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