10年共に暮らすパートナーとの生活で、私はストレスを溜めては気がふれたように物を壊す、という悪循環におちいっていたことがあります。 彼は統合失調症。時折、幻聴に対して怒り狂ったように大声を出して、それを止める私を殴りました。私は震える愛犬を抱きしめながら、部屋の隅で彼が落ち着くのを待つのが精一杯でした。 普段は、とても優しく物静かな人なので、他人に理解してもらうことは困難。 私は“ここから逃げる選択”を考えることもありましたが、心のどこかで「逃げるのは違う」と感じていたのです。 私が口答えしなければ殴られることはない…それだけが救いでしたが、私の心は少しずつ蝕まれていたのだと思います。
そして、自分の人生を変えたいと思って始めたのが“素手でトイレの掃除をすること”でした。 素手で掃除した時、胸の奥にスーッと風が通るような感覚を覚えて、それがとても心地よかったのです。 私がやったことは他にも色々ありますが、誰にも言わず黙々と毎日続けていて、心を整えるのに役立っているのは「トイレに素手を突っ込む」ということなのです。 この1年、彼が大きな声を出すことも怒鳴ることもなくなり、私も愛犬も、毎日安心して眠ることができています。
最近「行住坐臥」という教えを読んで、日々の暮らしのなかで自分を整える大切さを知りました。 あらためて「すべては自分次第」なのだと感じています。

















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
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