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人に寄り添うということ――答えを急がず、内側の声を聴く時間

人に寄り添うということ――答えを急がず、内側の声を聴く時間

書いた人:安藤弘

離婚をきっかけに今後の生き方を考える女性との対話を通して、「人に寄り添う」とは何かを見つめたレポートです。演劇の稽古や傾聴会、ダイアード瞑想での経験を土台に、答えを与えるのではなく、相手自身が内側の声に気づいていく時間の大切さが語られます。

答えを急がずに聴く

早いもので、6月になると年の半分を過ごしたことになります。ここ最近の私は、あいかわらず普段の仕事に従事しながら、その合間に知人から人生相談を受ける機会が増えています。

今回は、長年ご主人と別居生活を続けていたある女性が、離婚を切り出されたことをきっかけに、その後の自分の身の置き方について悩まれ、ご相談に乗ることになりました。

私は何年か前、演劇経験のない方々を対象に、演劇の基礎的な稽古や表現についてお伝えする機会をいただきました。その中で、さまざまな環境や背景を持った人々と、時間をかけて向き合い、対話を重ねる経験をしました。人は自分自身と深く対話をすることで、初めて自分の本音や感情、そして本来の表現に気づいていくのだということも学びました。

今回ご相談を受けた際も、私はすぐに答えを出そうとするのではなく、まずはその方のお話を丁寧に聴くことを大切にしました。その方自身の中にある思いや苦しみ、そして本当に望んでいることは何なのかを、一緒に見つめていくようにしています。

その人の中にある答えを待つ

お話を聞くのは主に電話です。決まった時間を設けるのではなく、お互いに時間の制限がないタイミングで、他愛もない会話から始めていきます。

お話を聞く際に、私が特に意識しているのは、「私から答えを言わない」ということです。「これは何なのでしょうか?」という問いかけに対しても、なるべく私自身の考えや価値観を押し付けず、その方の言葉を丁寧に聴くことを心がけています。

そうすることで、その方自身が、自らの内側からしっくりくる答えを見出していけるよう、そのお手伝いに専念するようにしています。

もちろん、すぐには答えの出ないこともたくさんあります。ですが、ゆっくりと時間をかけながら、自分自身の心の奥へ問いかけ続けていくと、不思議と腑に落ちる感覚や、自分なりの答えが見えてくる瞬間があります。

そして答えが見えてきた時には、

「これからどうしていきたいのか」
「自分は本当はどう在りたいのか」
「自分は何を大切にして生きていきたいのか」

という問いと共に、その方に寄り添います。

私はこのような時間を通して、人は誰かから正解を与えられることで救われるのではなく、自分自身の内側にある声に気づき、それを受け入れていくことで、少しずつ前に進んでいけるのだと感じています。

聴くことで、自分も見つめ直す

同時に、相手のお話を聴かせていただきながら、実は自分自身も多くの気づきをいただきます。人それぞれに苦しみや葛藤があり、その中で懸命に生きている姿に触れるたびに、自分自身の未熟さや執着、そして「人に寄り添うとは何か」を改めて考えさせられます。

以前、地元で参加していた傾聴会や、「話す瞑想」とも呼ばれるダイアード瞑想などを通して、話をしながら自分自身とつながり、また人の話を聞きながらも自分自身と向き合うという経験を重ねてきました。

そうした経験を土台として、さまざまな方々との交流や価値観の共有、人と人との結びつきの大切さを、改めて感じています。生きていくための考え方や人との関わり方など、微力ながらさまざまなサポートをさせていただく中で、実は自分自身も多くの学びや気づきをいただき、少しずつ育てられているように感じています。

最初の一歩を見守る

現在ご相談に乗っているその方は、6月に糸かけ曼荼羅のワークショップを主催されることが決まりました。それは、その方ご自身が悩みや苦しみの中で、自ら望み、選び取られた「最初の一歩」であるように感じています。

私自身も、その糸かけ曼荼羅のワークショップに参加させていただきながら、その方が少しずつ前を向き、自分らしい人生を歩まれていく姿を、温かく見守っていければと思っています。

今後も、一人ひとりの心に丁寧に向き合いながら、学びを深めてまいりたいと思います。

仏陀倶楽部では、 日々の迷いや立ち止まりを、
一人で抱えずに言葉にする場があります。

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監修者 「愛葉 宣明」

僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。

信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」

愛葉宣明 著 『仏陀経営』ほか
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