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「諸行無常」の本当の意味を現代に活かすための考え方で解説

諸行無常。誰しもが聞いたことのある言葉ではないでしょうか。

多くの方は、平家物語の冒頭にあるフレーズとして記憶に残っているかもしれません。

仏教での諸行無常という言葉は、悲観的に捉えるものではないと説いています。

そこで今回は、諸行無常の本当の意味について理解してもらった上で、現代に活かすための考え方を解説していきます。

諸行無常とは?言葉の意味と読み方

諸行無常(しょぎょうむじょう)とは、この世の全ての事象や存在は常に変化をし続けており、永遠に変わらないものはない、という思想です。

道に咲いている花もいつかは枯れ、どれだけ活動的で財を成している方でも、いつかは死にます。

つまり、今いるこの瞬間でさえも事象や存在は変化しており、一定に留まることはない、と説いているのです。

諸行無常は、仏教の始祖であるお釈迦さまが記された涅槃経(ねはんぎょう)にある偈(げ)として知られています。

ただし、日本においては平家物語の冒頭にある「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」で認知している方のほうが多いかもしれません。

諸行無常は四法印の1つ

諸行無常は、仏教の基本的な教えである四法印の1つです。

諸行無常・一切皆苦・諸法無我・涅槃寂静」の4つの教えがあり、それぞれで思想や生き方、人間の真理としてお釈迦を説いています。

四法印の考え方を簡単にまとめると以下のとおりです。

  • 諸行無常:全ての事象や存在は常に変化を続けている
  • 一切皆無:この世の全ては思い通りにならない
  • 諸法無我:この世の事象・現象は全て互いに関係しあって成立している
  • 涅槃寂聴:煩悩や苦しみから解放された悟りの境地

上記の中でも「諸行無常・諸法無我・涅槃寂聴」を取り上げて三法印と呼ぶ場合もあります。

諸行無常と諸法無我は”縦”と”横”の違いがある

諸行無常と諸法無我を理解すると、より「人生とは何か」を探るヒントが得られるはずです。

まず諸行無常は、全ての現象は常に移り変わるという過去・現在・未来における時間軸の変化に着目しています。

続いて諸法無我は、事象や実体は独立しておらず、全て何かの「他」によって成り立っている点に着目しています。

つまり、諸行無常と諸法無我の考え方は縦軸・横軸の違いがあり、人生のうつろいと「他」への感謝に気づくことが重要です。

全ての現象は絶え間なく変化しながらも、多数の「他」によって生きている流動的な自分を認めることが、仏教において大切な考え方だと言えます。

「諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅為楽」は雪山偈と呼ばれる

お釈迦さまが諸行無常という言葉を説いたのは、彼がまだ雪山童子の時代、今でいうヒマラヤで修行をしていた際に出会った羅刹(醜い鬼)が起源とされています。

実は、この羅刹は仏教の守護神である帝釈天が変化した姿であり、以下のような偈を残したそうです。

「諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅為楽(しょぎょうむじょう ぜしょうめっぽう しょうめつめつい じゃくめついらく)」

この偈は雪山偈(せっせんげ)と呼ばれ、日本においてはいろは歌のもとになったとも言い伝えられています。

諸行無常の類語・言い換え

諸行無常という言葉は、類語や言い換えがあるのか気になる方もいるでしょう。

ここでは、諸行無常の類語・言い換えをまとめました。

類語・言い換え意味
盛者必衰(じょうしゃじゃひっすい)勢いがあって繁栄を極めたものも、必ず衰えて滅びること
有為転変(ういてんぺん)万物は一定ではなく常に変化し続けていること
生滅流転(しょうめつるてん)この世のこと・モノは全て生まれと滅びを繰り返し巡り続けていること
万物流転(ばんぶつるてん)この世のすべてのものは絶えず移り変わるということ

いずれも諸行無常と同じような意味を持っており、そのほとんどが仏教と深く関連しています。

その中で万物流転については、古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスが提唱した思想で、国は違えど仏教と通ずる考え方が根付いているのも面白い部分です。

平家物語における諸行無常の捉え方

日本においては、諸行無常と聞くと平家物語を連想する方が多いでしょう。

しかし、平家物語における諸行無常は、過去の栄光も長くは続かず変わってゆくさまを表現しており、儚さや虚しさとして解釈するケースが多いです。

上記をふまえた上で、平家物語における諸行無常について見ていきましょう。

「諸行無常の響きあり」とはどういうことか

平家物語の冒頭は「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり」と記されていますが、これは一体どういうことなのでしょうか。

祇園精舎というのは、お釈迦さまが説法を行った寺院で、誰かが亡くなると鐘を鳴らすのが慣習でした。

そのため、祇園精舎から鐘の音が聞こえてくると、お釈迦さまを含む修行僧は、誰しも生き続けることはなく、平等に死を迎えるものなのだと考えさせられるのです。

上記のような、うつろいゆくさまを平家物語でも表しており、その後の「娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」で、どのような者でも衰える様子を謳っています。

諸行無常と盛者必衰は違う?

どのような人でも不変ではなく衰え、やがて死んでしまう、と大きく捉えるなら、諸行無常と盛者必衰は同じ意味です。

しかし、細かな違いをあげるなら、盛者必衰には財や力を失ってしまう悲しさが隠されています

一方の諸行無常は、どのような人でもやがて死を迎え、万物は全て一定ではないという真理です。

さらに仏教における諸行無常には、悲しみや苦しみ、嬉しさなどの感情も永遠に続かないとしており、盛者必衰との違いを表しています。

諸行無常の本当の意味は「今を生きる」こと

諸行無常は、生があれば必ず死も訪れるという解釈にもなり、儚い意味として捉えてしまいがちです。

しかし、諸行無常の本当の意味は「今を生きること」であり、ネガティブな考え方ではありません。

諸行無常はネガティブな考え方ではない

諸行無常はネガティブではなく、むしろ心が軽くなるようなポジティブな考え方です。

たとえ大事なプレゼンで失敗してあなたが落ち込んでいたとしても、その気持ちさえも諸行無常であり、永遠に続くものではないのです。

もし、あなたが諸行無常を生と死への虚無感として捉えているなら、考える軸を”今この瞬間”に向けるようにしてください。

諸行無常を理解すると「今この瞬間」を大切にできる

物事だけでなく感情も移りゆくからこそ、”今この瞬間”を大切にする生き方が諸行無常の本質です。

「仕事でミスをしたらどうしよう」「自分は幸せになれるかわからない」という不安があったとしても、その状況や気持ちもいつかは変わります。

諸行無常だからこそネガティブな気持ちも永遠には続かない、と理解した上で生きることが大切なのです。

仏教においては、ネガティブな感情も認めてあげるのも説いており、さらに諸行無常の考え方を取り入れると、心は一段と軽くなります。

何かに悩みを抱えているのなら、諸行無常を思い出し、今この瞬間を大切にしてください。

諸行無常を知ることで得られる生き方とは

諸行無常を知ることで、以下のような生き方ができるようになります。

  • 心の柔軟性が育まれる
  • 日常で感謝が増える
  • ストレスを抱え込みにくくなる

ストレスの多い現代社会だからこそ、諸行無常を知り、心が楽な生き方を見つけましょう。

心の柔軟性が育まれる

諸行無常は気持ちの在り方を知るきっかけになり、心の柔軟性が育まれます。

苦しいことや辛いことがあっても、いつまでもその状態は続かないことを理解しているからです。

逆に、嬉しいことも永遠に続かないのを理解しているからこそ、過ぎ去った後の寂しさや虚しさも受け止められるようになります。

そのときそのときに抱く感情は偽物ではなく、紛れもなく本物です。

しかし、その感情さえも流動的だと考え、受け止めるからこそ心が柔軟になり、生きることが楽になります。

日常で感謝が増える

諸行無常を知ると日常で感謝が増えたと感じる方は多いです。

変わりゆく気持ちや事象を理解しているからこそ、今この瞬間が大切に感じられ、感謝できるようになります。

例えば、野に咲く花が美しいと思うその感情も永遠に続かないとわかっていると、出会えたご縁に感謝するはずです。

こうした巡り合わせによって抱く感謝が増えていくと、自然とネガティブな感情を抱きにくくなります。

ストレスを抱え込みにくくなる

諸行無常はストレスを抱え込みにくくなるので、現代人にとっては身につけておくべき考え方だと感じます。

現代社会は目まぐるしく変化しており、比例してストレスを受けてしまう方も多いです。

しかし、諸行無常によって日々の感謝と気持ちの移り変わりを理解すれば、現代社会によるストレスを軽減できます

感情に左右されがちな方や環境によってストレスを感じやすい方にこそ、諸行無常を身につけることをおすすめします。

諸行無常を現代に活かす考え方

諸行無常を現代に活かすなら、以下の考え方を持っておくと良いでしょう。

  • まずは現代社会の変化を受け入れる
  • 成功も失敗もすべて変化でありチャンスである
  • 体調も良い・悪いがあって当たり前

ぜひそれぞれの考え方を取り入れてみてください。

まずは現代社会の変化を受け入れる

AIの普及を始め、現代社会は想像以上に変化が早いです。

そのため、人によっては現代社会に馴染むことがストレスとなり、不安や孤独、悲しさを感じているかもしれません。

しかし、この現代社会の流れの早さでさえも諸行無常であると受け入れましょう

流れが遅かろうが速かろうが、一瞬でさえ同じもの・ことはなく、常に変化をし続けています。

だからこそ、世の中は変化をしているのが当たり前な状態であり、現代社会に対して抱える不安や悩みも同じ状態であり続けることはないと考えましょう。

成功も失敗もすべて変化でありチャンスである

仕事や恋愛などで成功する場合もあれば、失敗する場合もありますが、いずれも変化でありチャンスと捉えるのがおすすめです。

多くの場合、失敗すると落ち込んでしまったり、自分はダメだと自己否定に陥ってしまいます。

しかし、落ち込むことや自己否定をしている感情は一生続くわけではないと、諸行無常の教えでわかってもらえたはずです。

失敗したとしても新しい何か(変化)を得られるチャンスだと考え、変わるための一歩を踏み出しましょう。

成功についても、これまでやってきた努力が報われた達成感や嬉しい感情を抱くかもしれません。

しかし、そのポジティブな感情も永遠に続くわけではありません。

また新たに成功体験を積み重ねる挑戦(変化)をするため、自己研鑽を続けましょう。

体調も良い・悪いがあって当たり前

諸行無常は自分の体調や精神の状態にも言えることです。

体調が良く活発に活動できるときもあれば、体調が悪く思考がまとまらないときもあります。

この体調や精神状態の良し悪しも千差万別であり、時間とともに変化するものです。

体調が悪いから自分はダメではなく、今はそういう状態で、これから変化をしていくから大丈夫と受け入れることが大切だと言えます。

諸行無常を座右の銘に現代を生きやすくする

諸行無常は、この世の全てが流動的であることを受け入れ、今この瞬間に感謝することが大切である、というのが本来の意味です。

お釈迦さまが説いた過去の教えではあるものの、深く理解すると現代を生きやすくするヒントになります。

諸行無常を座右の銘に、流れの速い現代でも他者・自身を受け入れてあげてください。

仏陀倶楽部では、迷いや悩みを日々抱えている方が、少しでも楽になる生き方を見つけられる場を提供しています。

仏教の知識がない方でも、安心して居られるコミュニティもご用意しておりますので、ご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

あなたが幸せと感じられる人生になるよう、素敵な一歩を踏み出しましょう。

諸行無常に関するよくある質問

Q. 諸行無常とはどういう意味ですか?

A. 諸行無常(しょぎょうむじょう)とは、この世の全ての事象や存在は常に変化し続けており、永遠に変わらないものはないという仏教の根本的な教えです。仏教の四法印の1つであり、お釈迦さまが涅槃経の中で説いた思想として知られています。

Q. 諸行無常はネガティブな考え方ですか?

A. いいえ、諸行無常はネガティブな考え方ではありません。むしろ心が軽くなるポジティブな教えです。辛いことや苦しいことがあっても、その気持ちは永遠には続きません。諸行無常を理解することで、今この瞬間を大切に生きる心構えが身につきます。

Q. 諸行無常を日常生活にどう活かせますか?

A. 諸行無常の考え方を取り入れると、心の柔軟性が育まれ、日常で感謝が増え、ストレスを抱え込みにくくなります。現代社会の変化を受け入れ、成功も失敗もすべて変化の一部と捉えることで、今この瞬間に感謝しながら前向きに生きられるようになります。

仏陀倶楽部では、 こうした日々の迷いや立ち止まりを、

一人で抱えずに言葉にする場があります。

監修者 「愛葉 宣明」

僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。

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