29年の経験を持つ看護師が、転職先で命じられたのは「掃除ばかりの雑用」でした。自分の専門性が生かせない日々の中で深まる疎外感と、周囲への偏見。組織の中で「居場所がない」と苦しんだ末に、いかにして心の平穏を取り戻し、新たな挑戦へと踏み出したのか。仏教の視点から、失敗を「成功に至るまでの経験」と定義し直すことで、環境の変化に悩む人が前を向くためのヒントを提示します。
29年のキャリアを経て直面した転職後の悩みと疎外感
私は昨年3月末で29年働いていた職場を退職し、新しい職場(保育園)へと転職しました。新しい職場での人間関係のストレスや親の介護もあり、フルタイムから午前中だけのシフトにしてもらいました。午前中だけになったことで、看護師としての仕事ではなくほぼ雑用で、感染防止の点から掃除ばかりしています。
それが保育園での看護師の仕事かもしれませんが、園児に関わることもなく一人黙々と掃除や雑用をしていると、「何のための看護師資格なのか」と疑問に思うようになってきました。パートなので園での情報共有もなく、とても疎外感を感じてきていました。
職場での人間関係と「色眼鏡」の気づき
園の状況に心が沈む中で、ただ一人、正職の若い男性保育士さんだけがいつも感謝の声をかけてくださいました。園長や主任ではなく、28歳のまだまだ若い先生です。彼の保育の仕方にはやや問題があると言われていましたが、外から見ていると一人ひとりの個性をしっかり理解し関わっているのがわかります。
この先生を知る前に、問題があると上からの情報があったため色眼鏡で見ていた自分がいました。他の先生たちとの会話でも否定も肯定もできず、悪口を聞いていました。だんだんと心がしんどくなっていき、園で何も話さない、聞かない、無関係な存在でいる自分がいました。こんなに仕事が楽しくないと思ったのは初めてで、大好きな子どもたちがまともに見られなくなっていきました。
新しい挑戦と「居場所」の発見
気分を変えようと、週に1~2回、夜診クリニックのパートに行くことにしました。そこは私が子供の頃からお世話になっていたクリニックで、今は息子さんが院長として開業されており、そしてそこには以前一緒に働いていた先輩看護師がおられ、声をかけてくださいました。地域密着型のクリニックで、のんびりしており、大きな病院にいた時よりは物足りなさを感じるかなと思いましたが、地域医療が奥深く、学ぶことがたくさんあり楽しみも出てきました。
自分の居場所が見つかったような、そんな気がして、またやる気が出てきました。
仏教の教えに学ぶ—失敗を成功への経験とする
保育園でうまくいかなかった経験を、仏陀倶楽部の愛葉代表の言う「失敗」ではなく「成功に至るまでの経験」と恐れず次の経験へと進んでいきたいと思います。目の前の困難を逃げずに受け止め、それが必ず将来の糧になると信じることで、私たちは成長できます。
保育園は1年契約なので、3月までいろんな経験を味わい、春からは別の夢に向かって突き進んでいこうと思っています。転職後の環境変化や人間関係のストレスに悩む方に、この経験が新たな一歩を踏み出す勇気となれば幸いです。

















僧侶、著述家、宗教法人得藏寺 代表役員
愛知県名古屋市出身。浄土真宗大谷派である名古屋大谷高校業後、20歳で独立起業。自動車販売業、美容事業、飲食事業、リサイクル事業と、次々に事業を立ち上げる。
独立起業後10年を経て自身の中に湧きあがる疑問と向き合うため、事業を整理し、ヨーロッパを中心に世界30カ国以上を旅する中で、多くの宗教や文化、習慣や常識の違いに触れる。
「人は生きているだけで毎日が修行」という考えに至り、時代が変化しても自然淘汰されない“在り方”を仏教に見出す。
現在は誰もが「得度」し、僧侶になれる機会を提供している。
信念は、「人生を変えるのに修行はいらない」
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